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●彗星の符号●

 彗星には、それぞれ固有の「符号」がつけられています。これは、国際天文連合(International Astronomical Union)が、新しく発見された彗星や、回帰した周期彗星に順番に符号を付けていくものです。以前は年間10〜20個くらいの彗星しか現れなかったのが、最近の観測技術の向上により、現在では年間50以上の彗星が発見されるようになりました。
 1994年までは、毎年彗星が見つかった順番にアルファベットを振っていく方法で「仮符号」が付けられ、3年後に近日点(太陽に最も近づいた時)通過日時の順番にローマ数字による番号が振られ確定符号とされていましたが、この方法ではたくさんの彗星が見つかると仮符号のアルファベットが足りなくなってしまい、事実1992・93年には25個以上の彗星が発見され、緊急手段として、アルファベットを2文字並べるという方法で対処しました。
 このままでは混乱を招く恐れも出てきたため、彗星や小惑星などの天体の符号のつけかたを改定し、1995年から彗星に新しい方法による符号が付くようになりました。

 

C

/

1999

S

4

(LINEAR彗星)

1

P

/

1982

U

1

(Halley彗星)

数字1

符号1

/

年号

符号2

数字2

名称

●数字1 : 周期彗星の確定番号
 後述する符号1で、周期彗星"P"になった彗星のうち、2回目以後の回帰が観測された彗星に対して、順番に番号をふります。現在最新は143のコワル・ムルコス彗星で、今年3月に1984年以来16年ぶりに再発見されたものです(再発見前の符号はD/1984H1)。新発見の彗星の場合は、ここには何も入りません。

 例では・・・LINEAR彗星 : 新発見の彗星なので、なにも入らない
       Halley彗星 : 周期彗星のトップナンバー"1"がつけられています

 
●符号1 : 彗星の軌道による分類
C
: 発見直後のすべての彗星はこの符号になります。放物線軌道の彗星や長周期彗星は将来もこの符号がつきます。
P : 発見後、継続的な観測により軌道が楕円軌道であることがわかり、その周期が200年以内の場合はこの符号がつきます。
D : 一度周期彗星として" P "になった彗星が、何らかの原因で消滅したり、長期間回帰が観測されない場合、この符号がつきます。
例 : 3D    (Biela彗星) 1772年にはじめて観測・その後6回出現したが、1852年に分裂して以来観測されていない
  D/1993F2 (Shoemaker-Levy 9彗星) 1993年に発見され、翌1994年木星に衝突して消滅
A : 彗星として観測され、後に小惑星だと解った場合にこの符号がつきます。今までにはこれが付いた天体はありません。
X : 軌道を計算できずにどれにも分類できない彗星 今までにこれがついた天体はありません。

 例では・・・LINEAR彗星 : 新発見の彗星で、軌道が200年以上の長周期なので"C"
       Halley彗星 : 76年の周期彗星なので"P"

※一部の書籍の彗星の紹介記事において、このキャラクター"D"を別の意味に割り当てている部分があります。混同しないようにご注意下さい。

●数字2 : 年号
新しく発見された彗星の発見された年がはいります。確定番号の付いた周期彗星では省略が可能。回帰年ごとの軌道を現すような場合は、その回帰で検出された年を入れる

 例では・・・LINEAR彗星 : 1999年に発見されたので"1999"
       Halley彗星 : 1982年に検出されたので"1982"

●符号2 : 発見された時期
新しく発見された彗星の発見された時期を次のキャラクタに分類して符号をつける

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
前半 後半 前半 後半 前半 後半 前半 後半 前半 後半 前半 後半 前半 後半 前半 後半 前半 後半 前半 後半 前半 後半 前半 後半
A B C D E F G H J K L M N O P Q R S T U V W X Y

各月を15/16日を境にわけ、前半と後半をそれぞれ別の符号で現している。
数字と間違えやすい「I」と「Z」は使用していない。

 例では・・・LINEAR彗星 : 9月27日に発見されたので、9月後半の"S"
       Halley彗星 : 10月16日に検出されたので、10月後半の"U"

●数字3 : 連番
上記のキャラクター2によって区切られた時期に、彗星の発見された順番に数字が入ります。

 例では・・・LINEAR彗星 : 9月16日から4番目の発見なので"4"
       Halley彗星 : 10月16日の最初の発見なので"1"

 
ちょっとした例外 :
 前述の小惑星「キロン」は、小惑星として観測後、彗星であることがわかったため、小惑星としての符号(2060)と、周期彗星としての符号(95P)の両方をもっています。
 新しく発見された彗星で、キロンと同じように小惑星として観測されてから彗星とわかった場合は、周期彗星としての"P"と年号・そして、小惑星としての仮符号(アルファベット2文字)が入ります。最近の例では、C/2000 CT54があります。この小惑星としての仮符号の2つのキャラクタのうち、最初はの文字は彗星の発見時期と同じものが入るので、発見時期は他の彗星同様に容易に判別できます。C/2000 CT54の場合なら、2月前半ということになります。

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