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●彗星の構造●

画像:NASAの打ち上げた彗星探査機「ジオット」が撮影したハレー彗星の頭部のクローズアップ 

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 彗星は近年まで謎の多い天体で、今もたくさんの疑問が謎のままとされています。しかし、1986年のハレー彗星回帰のときに世界各国がハレー彗星に向けて人工衛星を送り込み、最近少しずつその構成物質なども解ってくるようになりました。

 彗星の頭部である本体の大きさは、大きいものでも直径20kmくらい、小さいものだと500mくらいの大きさと言われています。例えばハレー彗星は直径7〜15km・いちばん周期の短いエンケ彗星(3.3年に1度帰ってくる)では3.5km〜600mと考えられています。成分は主に酸素と水素・炭素が結合して地球上の氷やドライアイス(二酸化炭素)と同じような状態で存在し、その中に金属などの重い物質が固まって入っていると考えられています。地上のものに置き換えれば、都会で作った雪だるまのように、土がたくさんついてしまった雪だまを思い浮かべてください。
 彗星は、太陽の引力に引っ張られて太陽に近づいてきますから、太陽からの放射により彗星本体の温度はだんだんと上がってきます。すると、「雪だま」の水はガスとなって解け出して宇宙空間に放出されます。放出されたガスは太陽から放射される「太陽風」によって太陽と反対方向に流されます。これが私たちに「尾」となって見えているわけです。つまり、彗星の尾はその進行方向の後ろ側に出るものではなく、常に太陽の反対側に延びているわけです。

 「雪だま」の水が解けだすと、その中にある重い物質も一緒に宇宙空間に放出されます。これもガスと同じように太陽と反対方向にいったんは吹き飛ばされますが、ガスと違って重い物質は太陽の引力により太陽の方にもどされるようにカーブします。
 これが、彗星の尾のうち色の違う2種類の尾として私たちがみることができる姿です。ガスの尾は「イオンティル」といってブルーに見え、重い物質の尾は「ダストティル」といって白っぽく見えています。ダストティルはこのようにして彗星の軌道上にばらまかれ、たまたまひその軌道上を地球が通過するときに、流星群として私たちにたくさんの流れ星を見せてくれるわけです。

ヘールボップ彗星(C/1995O1) 撮影:編集部 船本

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ヘール・ボップ彗星(C/1995O1)の尾の変化を時間とともに追った画像
太陽との距離や地球との位置関係により、尾の形や色も大きく変化する

 画像提供:東京都品川区 吾妻 秀一さん

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