皆さんは、毎日どのくらい空を見上げているでしょうか。自分で意識していないときでも、ふと空を見上げているときが必ずあると思います。それが晴れた夜であれば、そこには星たちが輝いているはずです。
 今回は、そんな夜空に輝いている星たちの世界に皆さんをご招待したいと思います。

☆身近なところで見える星

○都会でも星は見える!
 スタークリック!の編集部がある新宿は、「眠らない街」の名前の通り、夜はたくさんの街灯やネオンサインが光り輝いています。これだけの明かりの中でも、夜空を見上げてみるとちゃんと星たちは輝いているのです。
 夏号の編集のあいだはちょうど火星がとても良く見える時期でしたから、高層ビルの隙間から赤く輝く火星の姿を毎日見ていましたし、東の空から昇ってきた夏の大三角やうしかい座のアークトゥルスなどの一等星は簡単に見つけることができます。
 もちろん暗い星たちは見ることができないので、星と星をつないで星座の形を作ることはできないのですが、地上のネオンやビルの位置と、その上に輝いている星の位置が日々変わっていくのことから、その季節や時刻を知ることができるのです。

 たとえば、先週デパートのすぐ上に見えていた星が、今週はそのとなりのビルの屋上の近くに見えていたり、仕事帰りにビルの谷間にあった月が、一杯飲んで帰るときには空の高いところにあったり・・・。こんなことも、地球が毎日まわり続け、星が宇宙に輝いているから起こることなのです。「都会では星が見えない」なんていうのはまったくのウソ。会社や学校から家に帰るとき、ちょっとの時間でも、夜空を見上げてみませんか?。きっとたくさんの新しい発見があると思いますよ!。

○夕方から宵の空に見える星
 都会の夜は、人間が過ごしやすくするためにたくさんの光が灯されています。私たちが生活する上でその明かりはとても大切なものなのですが、その光が空に向いてしまうと、せっかく星が光り輝いている夜空を明るく照らしてしまい、はるかかなたの宇宙からやってきた星のかすかな光をかき消してしまいます。
 それでも、私たち地球から近いところにある星の光は、明るく輝いてみることができます。私たち地球から最も近いところにある星は「月」です。月は約1カ月かかって地球のまわりを一周していますから、毎日見える場所も明るさも形も変わります。宵の西空にあるときの月の形は、細くとがった三日月をしています。三日月が見えた翌日、同じ時間に月を探すと、昨日の場所よりちょっと東よりの高いところに見えているはずです。形も少し太って丸くなったように見えるでしょう。こうして、少しずつ形と見える場所をかえながら、東の空の地平線近くに見えるころには満月になっているはずです。皆さんも、地平線近くに赤く大きく見える満月を見て不気味に感じたことがあるでしょう。そして満月を過ぎた月は次第に細くなっていきますが、宵の空からは見えなくなってしまいます。
 もう一つ。宵の西空を彩る星として有名な「宵の明星」があります。金色に輝くその光は、ときどきUFOに間違えられたりするほどとても目立つものです。これは地球のすぐ内側をまわっている金星で、その美しく輝く姿から欧米ではギリシャ神話の美の女神ヴィーナスの名が付けられています。金星は、地球と太陽との位置関係によって、宵の西の空に見えたり明け方の東の空に見えたりします。金星と地球の位置関係による見え方の違いについては、このページも見てみてください。
 また、全天にある21個の一等星は、どんなに空の明るい街でも見ることができるでしょう。夏の夜空なら「夏の大三角」として有名なこと座のベガ・はくちょう座のデネブ・わし座のアルタイルが空の高いところに見えていますし、南の空には赤く輝くアンタレスのそばに、今年は火星も赤さを競って光っているはずです。

○ちょっと開けた場所にいってみる
 最近はマンションやアパートが多くなったり普通の住宅でも3階建ての家も増えてしまい、ふと見上げても「空」が見える範囲が狭くなってしまうことも多いでしょう。よりたくさんの星を見るためには、視界の開けた場所に行ってみることをおすすめします。
 たとえば公園や学校の校庭のような身近な場所でも良いですし、大きな川が近くにあったらその河原は絶好の星見ポイントになります。他にも、身近なところでもけっこう空が大きく開けている場所があるでしょう。また、なるべく周囲に明るい街灯やネオンの無い場所のほうが、空を照らす光が少なくなりより暗い星まで見えるようになります。足元も見えないような暗い場所のほうが、より暗い星まで見えるようになりますが、安全のために懐中電灯を必ず持っていくようにしましょう。ただし、夜の公園などは昼間に比べて危険なことがたくさんありますから、子どもや女性はけっしてひとりで行ったりしないようにしましょうね。
 まずは望遠鏡や双眼鏡は持たずに、自分の目で星の光を確かめてみましょう。きっと、皆さんが考えているよりもたくさんの星たちが空に光っていることに気がつくと思います。その光は、何十年も何百年かかって広い宇宙を旅してきた光なのです。
 これだけの星が見えるようになると、その星たちの名前を調べたくなるでしょう。それぞれの星はどこかの星座の星で、すべてに名前や番号がつけられています。これを知るためには、その日その場所で見える星座の位置がわかる道具が必要になります。
 いちばん手軽な物に「星座早見盤」があります。日付と時刻の目盛りを合せると、その日に見える星が簡単にわかるようになっています。また、スタークリック!の「天文カレンダー」には、毎月の各方角に見える星座の図がありますから、これをプリントアウトして持って行っても良いでしょう。

ちょっと一息 コラム「試験があると星が見たくなる」

コラム「赤い懐中電灯」

☆週末の星との遊び方
 学校や仕事のある夜は近所で星を見ることしかできなくても、週末やたまの休日には、ちょっと出かけて星のきれいなところで星を見てみましょう。そんなに遠くまででかけなくても案外身近な観光地でも星はたくさん見えるものです。

○電車やバスで星を見に行く
 星は夜しか見ることができませんから、遠くに行くとどうしても泊まりがけで見に行かなければならないことが多いのですが、終電車までに家に帰れる場所でも、意外とたくさんの星が見えるポイントがあります。今回は、そんなとっておきのポイントをいくつかご紹介しましょう。

●スタークリックおすすめ星見ポイント(1)

   JR八高線明覚駅

 新宿からなら電車を乗り継いで1時間半程度で着く小さな駅です。駅の周辺でも都会の中とはまったく違う星空を楽しむことができます。
 東京方面への終列車は21:57発です。

●スタークリックおすすめ星見ポイント(2)

   JR青梅線二俣尾駅

 ここも新宿から電車を乗り継いで1時間半。青梅線はこの先もっと空の暗い奥多摩まで続いていますが、山が迫ってくるため視界が開けているのはこの付近まで。
 東京方面への終電車は23:32までありますが、終電車の乗り継ぎに注意してください。

●スタークリックおすすめ星見ポイント(3)  三浦半島 城ヶ島

 夜のドライブにも絶好のポイント。電車とバスを乗り継いでも行ける。南に大きく開けた海に釣り舟のいさり火と水平線まで広がった星空を楽しむことができます。城ヶ島発三崎口駅行きのバスは、20:25まであります。

●スタークリックおすすめ星見ポイント(4) 生駒山 生駒ケーブル山上駅
 大阪ではとっておきのお手軽ポイント。2本のケーブルカーを乗り継いで生駒山の上にある遊園地の入り口まで行けます。遊園地の閉園後は照明も暗くなり、奈良盆地の夜景とともに楽しめるポイントです。ケーブルカーの最終は22:20です。

○夜のドライブをしながら星を見に行く
 車を使って移動すれば、時間を気にすることなく好きな場所で星と遊ぶことができますね。登山道路を使って山にのぼれば、夜景と一緒に楽しめるポイントもたくさんあります。もし、車で星のきれいなところに行くとき、その場所で星を見て楽しんでいる人がいたら、ちょっと早めにヘッドライトを消しましょう。見ている人からみると、星空になれた目ではとてもまぶしいものです。だからといって、安全を確認できないままライトを消したりしないようにしましょうね。

 スタークリックおすすめ ドライブ&星見ポイント

 ◎関東
  三浦半島 城ヶ島
  身近でとてもおすすめのポイント 明け方三崎港にあがる新鮮なお魚も魅力(笑)

  箱根 仙石原
  国際的観光地である箱根の中では、比較的周囲に光がなくきれいな星空を見ることができる。駐車スペースが限られているので、路上駐車したりしないようにしましょう。

  富士山 富士宮口五合目
  
数ある富士山の登山口の中でも標高の高いところまで車で登れるので、下界が雨や曇りでもここまでくると晴れていることが多い場所です。夏場は登山客の車も多いので、お互いに譲り合ってマナーを守って楽しみましょうね。

 このほか、赤城山 大沼(標高が高く空が暗い) 筑波山(夜景がとてもきれい) 奥多摩湖などもおすすめです。
  
 ◎関西
  淡路島
  明石海峡大橋の完成でぐっと身近になった淡路島。特に島の西側の空はとても暗くて、大阪から1時間ちょっとで行ける場所としてはとても良い条件です。

  六甲山
  たくさんのドライブウェイがある六甲山は、手軽な星見&夜景スポットです。標高もそれほど高くないので少し空は明るいですが、街で見る星空よりは明らかに星に近く感じられることでしょう。夜景の楽しめる六甲ケーブルも夜10:00まで運行しています。
 

 今回は、身近なところで夜空を見上げるチャンスを作って欲しいと考えて特集を組みました。これからの皆さんの実生活の中で、もっともっと星に接する機会は作ることができると思います。

 気づいたときに、そこに星は光っています。皆さんも夜空を見上げて見ませんか?。そして、星たちから何かを受け取ることができるようになったら、もっと宇宙が身近なものになると思いますよ。

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次号(1999年秋号)の特集は「1から天体望遠鏡」です


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