コラム「赤い懐中電灯」

 天文の入門書に、良く「星を見るときは赤いセロファンを張った懐中電灯を持っていきましょう」と書いてあるのを見ると思います。人間の目は、その時の明るさに反応して瞳孔が収縮して、目に刺激を与えないようになっています。夜、星を見るときは、より多くの光を目の網膜に集めるために瞳孔を大きく開いて見る必要があります。
 まわりに街灯やネオンの無い場所では、こう言った余分な光りが目に入ることがありませんから、瞳孔は最大限に開いているはずです。しかし、一旦懐中電灯や車のヘッドライトがつくと、とたんに瞳孔は収縮し、見えていた星も見えなくなってしまいます。そこで、なるべく星を見ている時には明かりを点けないようにするわけです。
 しかし、星座早見盤や星図を確認するためにはやはり明かりが必要です。そこで、懐中電灯に赤いセロファンを張って使用しています。これは人間の目が赤い色の反応が鈍いことを利用したもので、瞳孔が収縮しにくいため、すぐに星空をみることができるわけです。
 ただ、逆に言うと赤い光線は人間の目には非常に刺激が強く、赤い光で地面を照らした場合、段差や溝などを見落とすことも多くなってしまいます。このように必ずしも赤い光が良いわけではありませんから、「見にくいな」と思ったり目に刺激を感じたときは、普通の懐中電灯の光のままで使うようにしましょう。もちろん、不必要に点灯したりしないように十分に注意しましょうね。


夜空を見上げてみよう!に戻る