中国の神話 織女星 七夕伝説

 一等星「べガ」は、日本ではその名前より七夕伝説の「おりひめ星」の名前の方が良く知られているでしょう。この七夕伝説は、古代中国の伝説に出てくる織女と牽牛の物語です。

 夏の夜空では、天の川が空を西と東に分けています。西側は天人の世界と呼ばれていて、天帝の娘だった織女(おりひめ)は、子どもの頃から外には出ずに機織りばかりしている仕事熱心な娘でした。おりひめの織った布はそれはそれはとても美しく、皆が欲しがるのを見たおりひめはそれがうれしくて、またせっせと機を織り続けるのでした。

 しかし、化粧もしないで一日中機織りばかりしているので、このまま嫁にも行けぬのではないかと心配した天帝は、天の川の対岸で牛の世話を一生懸命にしていた働き者の男・牽牛(けんぎゅう)と結婚させることにしました。

 2人は結婚してからとても幸せな生活を送っていました。ところがおりひめは、女性としての自分に気づいたのか、牽牛との生活が楽しくてしかたなくなって、それまであれだけ熱心にしていた機織りをまったくしなくなってしまったのでした。天帝のもとには、おりひめの紡いだ布を求めて遠くからもお客様がやってきます。しかし、おりひめの織った布はもうなくなってしまいました。

 それを見かねた天帝は、たとえ2人が幸せな暮らしを続けていても、仕事ができないようではいけないと、2人を再び離すことにしてしまったのです。しかし、一度引き合わせた2人を引き離すのはあまりにもかわいそうだと考えた天帝は、年に一度だけ、会う機会を与えることにしました。

 その日は、7月7日と決められました。その日には、普段はわたることができない天の川に、かささぎが群れを成して橋をかけてくれて、その橋の上で2人はひととき会うことを許されたのです。

 この七夕伝説は、日本に伝えられたあと、お話しがとても似ていた奄美地方に伝わる「天の羽衣」の伝説と一緒になって、現在まで多くの人々に語り継がれています。

 この伝説に出てくる「牽牛」は、ベガと天の川をはさんで対岸にあるわし座のアルタイルです。天の羽衣伝説では「ひこぼし」と呼ばれています。

 もし、いまあなたが愛する人と1年間会うことも話すこともできなかったとしたら、あなたはどうしますか・・・?(笑)。

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