●はくちょう座の星雲星団●


 パロマ山天文台で撮影された網状星雲NGC6992〜5
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 天の川の中を飛ぶはくちょう座には、たくさんの星雲星団があります。銀河系の中心部のあるたて座からはくちょう座の翼にかけて。天の川が大きく暗黒星雲によって遮られているのも、空の暗いところで見ると良くわかります。

 はくちょうの東側の翼の先には、「網状星雲」と呼ばれている星雲があります。この星雲は、今から数万年前に爆発した超新星の残骸が、今も少しずつ広がっている様子を、1300光年のかなたから見ているものです。ヴェールのように広がった星雲は、写真に撮るとピンクいろの淡い広がりとして撮影することができます。

 網状星雲はリング上に大きく2つに分かれて見えています。見つけやすいNGC6990は、ε星の3度南にあり、52番星(4.2等星)につながって見ることができます。もう一方のNGC6992〜5は、ε星とζ星のほぼ中間付近のちょっと南に見えています。空の暗い場所であれば、7×50クラスの双眼鏡で両方の星雲をひとつの視野にみることができます。

 網状星雲と並んではくちょう座の名物といえば、一等星デネブのすぐ北側に広がる大きな散光星雲NGC7000です。この星雲は、その形から「北アメリカ星雲」と呼ばれています。その形がアメリカ大陸に似ていることからこのように呼ばれているのですが、右の写真だと、左はしがメキシコでその右のくぼんだところがメキシコ湾。その右がフロリダ半島という具合。また、その南(この写真では下)に広がる淡い星雲は「ペリカン星雲」と呼ばれています。

 この星雲は写真に撮影するとこのように赤く写ります。これは、水素が反応して発する光であるHα線とよばれるもので、肉眼では感じにくい光りのため、望遠鏡でこの領域を見ても、なかなかこのような形には見えてくれません。


「北アメリカ星雲」NGC7000
東京都品川区 吾妻 秀一氏撮影
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 このほか、M29とM39の2つのメシエ天体でもあります。どちらも散開星団で、M29はこじんまりとした小さな星団。6cmクラスの望遠鏡で50倍くらいで見るとちょうど良くまとまった数十個の星のかたまりをみることができます。

 M39の方は、かなり大きく広がった星団で、空の暗い場所では肉眼でもかすかに見ることができます。双眼鏡で容易にその存在を確認でき、低倍率の望遠鏡かちょっと高めの双眼鏡(20〜50倍程度)が最も美しくみることができる倍率でしょう。

左図:はくちょう座の星雲星団のファインディングチャート クリックすると大きな図が表示されます



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