●ブラックホールらしい天体 X-1●

 はくちょうの首あたりのη星のすぐ近くにある、SAO69181という8.6等星のすぐ近くからは強力なX線や電波が出ていることが観測されています。このX線天体が「ブラックホールではないか?」とする説が出るようになったのは1979年ごろからです。以来、世界中の天文学者がこの天体を様々な方法で観測し、ブラックホールの存在を立証しようと研究が進められています。

 ブラックホールは、強力な引力と巨大な質量をもつ天体で、その引力が光の脱出速度よりも強いため、光も外に出ることができない天体だとされています。光が出ないわけですから、その天体を直接私たちが目で確認することはできませんが、その近隣にある天体がブラックホールに影響されて何らかの変化をしていることから、その存在が明らかになるってくるわけです。

 はくちょう座X-1の場合は、すぐ近くにいるSAO69181のいびつな形から、その存在がわかりました。この星は、右の図のようにたまご型に歪んでおり、何かに吸い取られるかのように細くつながる帯のようなものが電波による観測で確認されています。この吸い取られている先にブラックホールがあるのではないかと考えられているわけです。

 全天にこのようなブラックホール候補の天体は数十個発見されており、それぞれに研究が進められています。いずれも周辺の他の天体が影響を受けてその存在が明らかになったもので、まだ確実に存在を確認できるものは現れていません。



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