●はじめて距離を測った星●

 現在、私たちの太陽系から他の恒星までの距離は、光が1年に進むことができる距離を現す「光年」という単位で現されますが、光の速さが正確に求められる以前は「パーセク」という単位が使われていました。

 恒星の距離をはじめて計ることに成功したのは、はくちょう座のデネブとζ(ゼータ)星を結んだ中間付近にある61番星という5等星です。光で何年もかかるような遠いところの星の距離を、一体どうやって計ったのでしょうか。

 地球は、太陽のまわりを約1年かけてまわる公転運動をしています。公転する地球から見ると、太陽と地球の距離は約1,500億kmありますから、地球の軌道のはじとはじは約3,000億kmあることになります。この距離から、離れた3点間の距離を求めることでその恒星までの距離を求めることができます。これは「年周視差」とよばれ、1838年にドイツの天文学者ベッセルがこの星をこの方法で測定して発見したものです。

 はくちょう座61番星は実際には11.2光年(3.43パーセク)で、その年周視差はわずか0.3秒しかありません。

 この方法では、年周視差の角度が狭いほど距離が遠いことになるため、比較的近距離にある恒星しか測定することができませんでした。現在はより遠い星の距離を求めるために、測定するために分光視差という方法によって、光だけではなく電波なども利用して測定されています。

 また、このはくちょう座61番星は二重星であることも解っており、比較的小さな望遠鏡でも、5.2等と6.0等の2つの星が寄り添っているを見ることができます。この2つの星は653年の周期でまわり合っていますが、この伴星(6.0等)はさらに小さな惑星のような天体がまわっていることが確認されています。現在、このような惑星らしい天体の存在は全天に数十個見つかっていますが、その天体の中にもしかすると私たち地球と同じような生命をもつ天体があるかもしれませんね。

天体と天体の距離を現す単位の対称表
パーセク 光年 天文単位(AU) キロメートル(km)
1 3.2616335 206264.806 30856776000000
0.30659484 1 63239.73 9460528348000
0.00000485 0.0000158 1 149597870



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