●冬の夜空の北十字●

 日本では沖縄や小笠原でしか見えない南の空に「みなみじゅうじ座」があることは皆さんもご存じでしょう。それに対して、このはくちょう座のことを「北十字」と呼ぶことがあります。日本では、特に近畿地方を中心にはくちょう座のことを「十文字様(じゅうもんじさま)」と呼ぶところがあるようです。

 キリスト教が信仰されている地域では、この十字をイエスキリストが因われた十字架として見ているところがあります。はくちょう座は、夏の宵の天高くに大きな十字として見えています。しかし、季節が夏から秋に変わっても、日が沈んで空が暗くなった後に空を見上げると、やはり空の高いところに見えています。だんだんと日が沈む時間が早くなり、星が見えるようになる時間もそれにつれて早くなってくるので、空が暗くなった頃に見る星座の位置はあまり変わっていないのです。

 そして、そのまま季節が冬へと進むにつれて北西の地平線近くに降りてきて、ちょうどクリスマスのころには地平線に立つ十字架になるのです。上の図はキリスト教の聖地ローマで見た、12月24日午後9:00の北西の空の様子です。



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