●天の川を泳ぐ白鳥●

画像の上にカーソルを合せると、星座絵が出てきます
(撮影:スタークリック!編集部)

 真夏の昼間の熱さと喧騒が静まるころ、夜空にはたくさんの星たちが輝きだします。夏の夜空には、たくさんの1等星や太く濃い天の川、そしてその中に輝くたくさんの星たちを見ることができます。

 その中でも特に目立つ3つの1等星でつくる「夏の大三角」は、空の高いところに大きな二等辺三角形を作っています。その底辺のうちの東よりの星が、はくちょう座のα(アルファ)星「デネブ」です。そのデネブを頂点にして、天の川に沿うようにして大きく十字に星をつなげることができます。これがはくちょう座の全景です。

 一等星「デネブ」は、ちょうどはくちょうの尾羽の位置にあり、アラビア語でそのもの「尾」という意味になります。明るさは1.3等と、夏の大三角の中では最も暗い星ですが、天の川の中に輝く白い光は他の2つの星とは異なる穏やかな輝きに見えます。デネブは夏の大三角の他の2つであること座のベガ(25光年 0.0等星)や、わし座のアルタイル(16光年 0.8等星)とは比較にならないほど遠い約2000光年もの距離の、私たち銀河系の中心部近くから、私たちに輝きを届けてくれています。

 はくちょう座の星たちには、デネブ以外にもそれぞれ白鳥に関わる名前が付けられており、それぞれβ(ベータ)星には「アルビレオ」=くちばし・γ(ガンマ)星は「サディル」=むね・ε(イプシロン)星は「ギエナー」つばさ といった具合です。

☆ワンポイント:星座の中に付けられている「α」「β」「γ」などのギリシャ文字は「バイエル名」と呼ばれるもので、17世紀のドイツの天文学者バイエルが星図を作る際に、それぞれの星座の星々を区別するために、おおよそ明るい星の順にギリシャ文字を与えたものです。



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