★プレアデス星団 M45

 おうし座には、肉眼でも私たちの目を十分に楽しませてくれる美しい天体があります。それはおうしの肩のあたりに、まとまりのある華やかなきらめきを見せてくれる散開星団です。これが有名なプレアデス星団で、ふつうの人の視力であれば、6個から7個の星がひとかたまりになっているのが見えるはずです。
 
 この星の数から日本でもこの星団のことを「六連星」(むつらぼし)と呼ぶ地方がありますが、古くは平安時代の清少納言の枕草子の中でも「星はすばる・・・」とうたわれていて、数ある星の中でもすばるの美しさが最も美しくきれいであるとたたえています。またご存知の方も多いかと思いますが、日本の国立天文台がハワイのマウナケア山頂に建設した大型望遠鏡の名前もすばるといいます。

 プレアデスの星々は生まれてまだ間もない若い星の集まりで、その年齢はおよそ5000万歳ぐらいであろうといわれています。しかしながらこの星々は、表面温度が1万5000度以上もある超高温星の青白い色をしていて、かなりのエネルギーを使っているために、長くてもせいぜい1億年ぐらいしか輝いていることができないだろうと考えられています。これは星の世界ではきわめて短命な星であるといえます。ということは私たちはタイミングよく、とても美しく輝いている時期のプレアデス星団を見せてもらっていることになります。

 プレアデス星団がとてもきれいに明るく見えるのは、この星団が私たちの地球から400光年と比較的近い距離にあることと、直径わずか15光年ほどの中に約120個ほどの青白い超高温星が群がっているからです。もしも太陽をこの星団の中に入れたとしたら、地球からはなんと10等星ぐらいの暗い星になってしまいます。いかにプレアデス星団がすばらしく明るく輝いているのかがわかるでしょう。

 このプレアデス星団を一番美しく眺めてみたい場合は望遠鏡ではなく、倍率が7倍でレンズの口径が50mmぐらいの双眼鏡を使って楽しまれることをお薦めします。これくらいの双眼鏡でのぞくと、見える星団の星の数はなんと数十個にも増えます。また視野全体が輝くガラスの砂をまきちらしたように、うるんだような青白い光りでちかちかと明滅する光景は圧巻で、言葉では言い表すことができないほどの美しさです。

 ところで夜空のよく澄んだ暗い場所で、双眼鏡を使ってじっくりとこのプレアデス星団を眺めていると、この星団を取り囲むようにして淡いガス状のものがうっすらとかすんで見えてくることがあります。これは星団をつつむようにして宇宙空間に広がっている塵が、星団の青白い超高温星の光りを鏡のように反射して輝いているからです。

(すばる望遠鏡の写真は国立天文台ホームページから転載)


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