★大神ゼウスの化身「おうし座」

 「おうし座」は狩人であるオリオン座におそいかかろうとしている猛々しい牛の姿で冬の星空に描き出されていますが、ギリシア神話では大神ゼウスがエウロパ姫をさらおうとして変身した雪のように白い優雅な牡牛なのです。今回は、歌でも有名な「昴(すばる)」(プレアデス星団)やかに星雲などを身にまとったおうし座の星たちを探ってみましょう。

 おうし座は、みなさんがよく知っているオリオン座ほど一目ではっきりと分かるような明るい星々で構成されてはいませんが、冬の代表的な星座だけあっておうしの全体的な形はよく整っていて、一度その星座の姿を見つけておぼえてしまえば、その均整のとれた姿ときれいな星団があることから、きっとみなさんの好きな星座の中の1つになることでしょう。(写真の上にカーソルを置くと星座絵が現れます)

 おうし座の見つけ方はとても簡単です。まず姿がよく目立つオリオン座を探してください。オリオン座のベルトの位置にある三ツ星を右上の方向にたどって行くと、明るく赤い星が目に入ります。この星がおうし座の1等星アルデバランです。このあたりがおうし座の中心となり、そのまわりには淡くて小さな星々がV字の形をしてごちゃごちゃと輝いています。これがヒアデス星団で、おうし座の顔に相当する部分になります。赤いアルデバランがその星団の中にあり、ちょうどおうしの目として光っています。
 ここからおうし座の立派な2本の角が、それぞれβ(ベータ)星とζ(ゼータ)星に向かってのびています。このうちβ星はおとなりのぎょしゃ座の五角形の輪郭を形作るひとつの星としての役割も担っています。またおうしの肩のところでは、6〜7個の星がひとかたまりになってきらきらと青白く輝いている星団が目につきます。これがきらびやかな冬の夜空の中でも、ひときわ美しいプレアデス星団(すばる星)です。

 またおうし座は、1月下旬の夜8時ごろには南の空の高度約70°ぐらいの夜空に上ってきますので、身体から熱が逃げないように、冬の寒さから身を守るために防寒着をたくさん着込んで、観望してください。

☆ワンポイント:星座の中に付けられている「α」「β」「γ」などのギリシャ文字は「バイエル名」と呼ばれるもので、17世紀のドイツの天文学者バイエルが星図を作る際に、それぞれの星座の星々を区別するために、おおよそ明るい星の順にギリシャ文字を与えたものです。

(星座絵はStellaNavigatorから転載)


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