国際宇宙ステーション

ISS計画における日本の貢献

Qの字状の星

イオにある活火山



国際宇宙ステーション(ISS)とは
建設スタート! 大きく動き出した国際宇宙ステーション
人が生活できる「宇宙の研究所」
 国際宇宙ステーションは、地上から約400km上空に建設される巨大な有人施設です。1周約90分というスピードで地球の周りを回りながら、地球や天体の観測、そして実験・研究などを行っていきます。完成後は、10年間以上使用する予定です。
 宇宙ステーションの主な目的は、宇宙だけの特殊な環境を利用したさまざまな実験や研究を長期間行える場所を確保し、そこでの結果を活かして科学・技術をより一層進歩させること。そして、地上の生活や産業に役立てていくことにあります。

宇宙ステーション内部では、宇宙飛行士が宇宙ならではの環境を利用して、さまざまな分野の実験・研究を行います。
世界各国が参加する人類初の一大プロジェクト
 人類にとって初めての「国境のない場所」―それが、国際宇宙ステーションです。アメリカ、日本、カナダ、ヨーロッパ各国、ロシアが協力して計画を進め、利用していきます。
 ひとつのものを作り上げるために、これほど多くの国々が最新の技術を結集するというプロジェクトは、これまでにまったくなかったこと。宇宙ステーションは、世界の宇宙開発を大きく前進させるための重要な施設であると同時に、国際協力と平和のシンボルでもあるのです。

多くのことが、各国間の話し合いで決められます。写真は1997年5月、筑波宇宙センターで行われました、参加国のトップによる機関長会議。
2004年の完成をめざして
 さまざまな機能を持つ国際宇宙ステーションは、構成パーツ(部分)を40数回に分けて打ち上げ、宇宙空間で段階的に組み立てていきます。打ち上げに使われるのは、ロケットやスペースシャトルなど。組み立ては「ロボットアーム」の操作や、宇宙飛行士の船外活動(宇宙空間に出て作業すること)によって行われます。
 最初の構成パーツ”FGB”は1998年11月20日にロシアのバイコヌール宇宙基地から打ち上げられ、宇宙ステーションの建設がついに始まりました。宇宙ステーションが完成するのは2004年です。

最初に打ち上げられたのは、ロシア製のFGBというパーツ。重さは約21トン。ザーリャ(日の出)という愛称です。



ISS計画における日本の貢献(セントリフュージ、HTV)

 我が国は国際宇宙ステーション計画の最初から、JEM(実験施設)を開発するという方針の下に、この計画に一貫して協力してきました。

 10年以上に及ぶこれまでの準備作業の中で我が国は、当初の計画であるJEMの開発だけではなく、国産のH2ロケットによる宇宙ステーションへの物資の補給手段を開発することも企画提案し、HTVと呼ばれるシステムとしての開発を現在着々と進めています。これは、宇宙ステーションと地上間の物資の移動を、米国のスペースシャトルだけに頼るのではなく、我が国もその役割の一部を担うことにより国際宇宙ステーション計画に貢献しようとするものです。

 さらに、我が国はNASAのスペースシャトルによる日本の実験棟(JEM)の打上げの代替として、セントリフュージ(生命科学実験施設)の開発を行い、軌道上でNASAへ提供することになっています。このセントリフュージでは、大型回転体を用いて人工的に重力を発生させ、微小重力が生物に与える影響を精密に抽出するための軌道上対照実験を行います。




Qの字状の星
 星は一般的に、球や円盤の形をしているように見えますが、ハワイにある大型望遠鏡「ケックI望遠鏡」のような高度な解像度を持つ望遠鏡で宇宙の奥を覗いてみると、風変わりな形状の星にめぐり合うこともあります。今回のスペース・ダイジェストでは、同望遠鏡で観測された、「Qの字」に見える珍しい星をご紹介します。


写真:ケック望遠鏡
4,800光年の彼方にある星 ― Wolf-Rayet 104
 アルファベットのQのように見えるこの星は、「Wolf-Rayet 104(WR 104)」と呼ばれる恒星で、発見者の名前にちなんで名付けられたWolf-Rayetという星団の中のひとつです。WR 104は、地球からいて座の方向に約4,800光年(1光年は約9兆4,600億km)も離れた位置にあり、一般的な望遠鏡ではぼんやりとした姿しか見ることが出来ません。昨年4月、米カリフォルニア大学バークレー校のウィリアム・ダンチ氏をはじめとする科学者グループは、ケック望遠鏡を使用してWR 104のQ字状の姿をとらえることに初めて成功しました。
恒星風とダスト
 WR 104は非常に大きくて明るい星です。Wolf-Rayet星団に含まれる星の大きさは平均して太陽の約3倍の大きさ、質量は25倍もあると言われています。WR 104のQの字の直径は160AU(Astronomical Unit:天文単位、1AUは地球と太陽間の平均距離=約1億5千万km)と計算されており、これはおよそ冥王星が太陽を2周する距離に相当します。高温でエネルギーを激しく放射しているため、その圧力で星の大気が押し流され、星の周りには強い恒星風が生じています。この恒星風にはダスト(ちり)が多く含まれており、この高温のダストが帯状に集まったものが丸い「しっぽ」のように見えているのではないかと考えられています。


写真:昨年4月に撮影された「WR 104」
もうひとつの星の存在
 それでは、このダストの粒子はWR 104からの熱で燃え尽きないのでしょうか?科学者グループは、ダストが燃え尽きずに残っているのは、WR 104の近くに対となるもうひとつの星が存在していて、WR 104と同様に強い恒星風を発しているからではないかと考えています。2つの星からの恒星風がぶつかり合う地点には、衝突の衝撃によって前線が生じ、保護膜のような状態となってWR 104やもう一方の星からの熱をさえぎります。この一帯で圧縮されたダストが、星の熱によって燃え尽きることなく、恒星風の勢いで放出されるのです。

ダストの帯がQの字状になる理由
 WR 104と対の星は、共に規則的に一定の軌道を周回しています。この軌道はほぼ完全な円形で、一周に220日かかることが分かっています。それは、星が軌道を移動するにしたがってダストが放出される位置(恒星風の衝突位置)も移動することを意味します。ダストはある一点では外に向かって放射状に放出されていますが、放出される位置が円を描くように動いているため、放出されたダストも結果的に渦巻き状の尾を描くのです。これは、庭のスプリンクラーの水が渦を巻いているように見える現象と同じです。上の連続画像は、昨年の4月、6月、9月と3回にわたって撮影されたもので、Qの字状のダストの帯が風車のように渦を巻く様子をとらえています。


関連サイト:

UCバークレー 宇宙科学研究所

UCバークレー ケック観測情報



木星の衛星イオにある活火山のハッブル画像をNASAが公開
 米航空宇宙局(NASA)は、ハッブル宇宙望遠鏡が1997年7月にとらえた、木星の表面に影を落とす衛星イオのドラマティックな画像を公開しました。ハッブルはまた、二酸化硫黄の「雪」を噴出するイオの活火山の一つ「ピラン」のクローズアップの画像も撮影しています。
 これらの画像は、1990年4月24日のハッブル望遠鏡打ち上げから9周年を祝う記念の一環として公開されたものです。
 一方、1999年1月から不調だったハッブルの第3ジャイロスコープが、4月20日に機能を停止しました。ハッブルは他3つのジャイロスコープで通常任務を継続できますが、スペアはもう残っていません。10月のスペース・シャトル・ミッションは、ハッブルのジャイロスコープ6基すべてを交換することになっています。
(写真:NASA提供)



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