|
|
|
|
我が国は国際宇宙ステーション計画の最初から、JEM(実験施設)を開発するという方針の下に、この 10年以上に及ぶこれまでの準備作業の中で我が国は、当初の計画であるJEMの開発だけではなく、国産のH2ロケットによる宇宙ステーションへの物資の補給手段を開発することも企画提案し、HTVと呼ばれるシステムとしての開発を現在着々と進めています。これは、宇宙ステーションと地上間の物資の移動を、米国のスペースシャトルだけに頼るのではなく、我が国もその役割の一部を担うことにより国際宇宙ステーション計画に貢献しようとするものです。 さらに、我が国はNASAのスペースシャトルによる日本の実験棟(JEM)の打上げの代替として、セントリフュージ(生命科学実験施設)の開発を行い、軌道上でNASAへ提供することになっています。このセントリフュージでは、大型回転体を用いて人工的に重力を発生させ、微小重力が生物に与える影響を精密に抽出するための軌道上対照実験を行います。 |
星は一般的に、球や円盤の形をしているように見えますが、ハワイにある大型望遠鏡「ケックI望遠鏡」のような高度な解像度を持つ望遠鏡で宇宙の奥を覗いてみると、風変わりな形状の星にめぐり合うこともあります。今回のスペース・ダイジェストでは、同望遠鏡で観測された、「Qの字」に見える珍しい星をご紹介します。 | ||||
![]() 写真:ケック望遠鏡 |
||||
4,800光年の彼方にある星 ― Wolf-Rayet 104 アルファベットのQのように見えるこの星は、「Wolf-Rayet 104(WR 104)」と呼ばれる恒星で、発見者の名前にちなんで名付けられたWolf-Rayetという星団の中のひとつです。WR 104は、地球からいて座の方向に約4,800光年(1光年は約9兆4,600億km)も離れた位置にあり、一般的な望遠鏡ではぼんやりとした姿しか見ることが出来ません。昨年4月、米カリフォルニア大学バークレー校のウィリアム・ダンチ氏をはじめとする科学者グループは、ケック望遠鏡を使用してWR 104のQ字状の姿をとらえることに初めて成功しました。 |
||||
恒星風とダスト WR 104は非常に大きくて明るい星です。Wolf-Rayet星団に含まれる星の大きさは平均して太陽の約3倍の大きさ、質量は25倍もあると言われています。WR 104のQの字の直径は160AU(Astronomical Unit:天文単位、1AUは地球と太陽間の平均距離=約1億5千万km)と計算されており、これはおよそ冥王星が太陽を2周する距離に相当します。高温でエネルギーを激しく放射しているため、その圧力で星の大気が押し流され、星の周りには強い恒星風が生じています。この恒星風にはダスト(ちり)が多く含まれており、この高温のダストが帯状に集まったものが丸い「しっぽ」のように見えているのではないかと考えられています。 |
||||
![]() 写真:昨年4月に撮影された「WR 104」 |
||||
もうひとつの星の存在 それでは、このダストの粒子はWR 104からの熱で燃え尽きないのでしょうか?科学者グループは、ダストが燃え尽きずに残っているのは、WR 104の近くに対となるもうひとつの星が存在していて、WR 104と同様に強い恒星風を発しているからではないかと考えています。2つの星からの恒星風がぶつかり合う地点には、衝突の衝撃によって前線が生じ、保護膜のような状態となってWR 104やもう一方の星からの熱をさえぎります。この一帯で圧縮されたダストが、星の熱によって燃え尽きることなく、恒星風の勢いで放出されるのです。 |
||||
ダストの帯がQの字状になる理由
|