セントリフュージ(Centrifuge: 生命科学実験施設)


(図:NASA提供)
セントリフュージプロジェクトの概要
 セントリフュージ(生命科学実験施設, Centrifuge)は、国際宇宙ステーション計画において重力環境が生物に与える影響について研究を行うための実験施設です。このセントリフュージは、生物実験用の隔離処理室(生命科学グローブボックス, LSG: Life Sciences Glovebox)、人工重力発生装置(セントリフュージロータ, CR: Centrifuge Rotor)、それらを搭載する与圧有人モジュール(人工重力発生装置搭載モジュール, CAM: Centrifuge Accommodation Module)から構成され、LSGは平成13年度、CRとCAMは平成15年度に打上げられる予定です。このプロジェクトはNASAのスペースシャトルによる日本の実験棟(JEM)の打上げの費用代替として、我が国がセントリフュージの整備を行い、NASAへ提供するというものです。
プロジェクトの目的
 セントリフュージは、重力環境が生物に与える影響を調べる実験施設であり、微小重力の影響を科学的に厳密に抽出するための軌道上対照実験に用いられます。セントリフュージの開発により、有人宇宙環境の中で生物試料を取り扱う技術、大型回転体の技術、及びそれらを搭載するモジュールのインテグレーション技術を、宇宙で実験・実証することを目的とします。
LSG/CR/CAMの概要
  LSGは搭乗員及びキャビン内空気の汚染を防ぐため、生物及び薬品等の実験試料を与圧室環境から隔離された作業空間に置き、搭乗員がグローブにより実験試料を隔離された状態で取り扱うことが出来る実験装置です。軌道上で使用されるものとしては世界最大級(500リットル)で、最大2個の生物飼育箱(Habitat)を取り付けることができます。2名の搭乗員が同時に操作可能であり、小動物・植物といった比較的大きな個体を対象として、解剖・播種・収穫等の処置を行うことができます。
 CRは生物飼育箱を回転させ、遠心力を発生させることにより、0.01gから2.00gまでの任意の重力を生物に与え、その影響を調べるための軌道上における世界最大級(回転半径1.25メートル)の重力実験装置です。重力は0.01g刻みで調節可能です。この装置により小動物・植物などの比較的大きな個体も実験対象にでき、飛躍的に重力生物学研究の範囲を広げることが可能となります。
 CAMはLSG、CR、生物飼育保管ラック、冷蔵庫等の実験装置及び保管用のラックを搭載する、生物実験専用の与圧モジュールです。



(C) Copyright 1999 NASDA Allright Reserved