ギリシャ神話 オルフェウスとエウリディーケ

 ギリシャ神話では、この「こと」は、伝令の神ヘルメス(英語ではMercury)が亀の甲羅に糸を張って楽器にしたもので、「リラ」(Lyra)と名づけられています。日本で言う「琴」よりは、西洋楽器のハープの原型と考えると良いと思います。亀の甲羅がちょうど良い共鳴をして、美しい音色を響かせたのでしょう。

 ある日ヘルメスは、兄である知恵の神アポロンが飼っていた50頭の牛を、無断で自分のものにしてしまいました。もちろんアポロンは怒って牛を返すように言いました。ところが、ヘルメスの作ったその「リラ」の音色に心を打たれ、たいそう気に入ったアポロンは、牛と引き換えにリラを自分の家に持ち帰りました。アポロンの子オルフェウスもリラをとても気に入り、野山に持ち出しては草花や動物たちにその音色を聞かせて歩いていました。

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