一等星「ベガ」

 夏の夜空にはたくさんの一等星が輝いています。真夏の暑さが涼しくなる宵の夜空の高いところには、明るい1等星で作られた夏の大三角を見ることができます。夏の大三角は、はくちょう座のデネブ・わし座のアルタイルと、このこと座のベガで作られる、大きな二等辺三角形です。都会の夜空でも、この3つの星はよほど明るいところで無い限り見ることができると思います。
 この3つの星の中でももっとも明るいのが、ベガです。「ベガ」(Vega)とは、アラビア語で「落ちる鷲」という意味を持っています。ベガの両側にある2つの3等星(ε[イプシロン]星・δ[デルタ]星)を含めて、翼をすぼめた鷲の姿に見立てたのでしょうか。
 ベガは、おおいぬ座のシリウス・りゅうこつ座のカノープス・うしかい座のアルクトゥルスについで全天で4番目に明るく、地球(太陽系)から25光年と、比較的近いところにある恒星で、1等星の中ではケンタウルス座α[アルファ]星プロクシマ(日本からは見えない)・シリウス・こいぬ座のプロキオン・わし座のアルタイル・みなみのうお座のフォーマルハウトの次に近い星です。太陽の約50倍の明るさで光る青白い輝きは、夏の夜空で最も目立つ存在です。
 夏の夜空の高いところに見えているベガには、日本でも有名な七夕伝説の織女星の名前が付けられています。このことについては後ほど触れることにしましょう。

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