Q1.宇宙の年齢は何歳ですか?
Q2.星座は誰がいつごろ作ったのですか?





 A.私たちの宇宙には始まりがあって、それがビッグバンと呼ばれる大爆発から始まって今現在もこの宇宙は膨張し続けていると考えられています。逆に考えると、宇宙が膨張しているということは、過去の宇宙は大変小さかったことになります。一言でいえば「宇宙は超高温、高圧の小さな火の玉として生まれた」とする考え方です。そしてこのビッグバンという宇宙誕生の大爆発がどのぐらい前に起こったのかが分かれば、私たちの宇宙の年齢が計算できることになるのです。

 宇宙が膨張していることは、1929年にアメリカの天文物理学者ハッブルによって発見されました。それは遠くの銀河(小宇宙)ほどより速く遠ざかっていて、すなわちその銀河までの距離に比例した速さでどんどん遠ざかっていることが分かったのです。この宇宙の膨張する距離と速さとの割合のことをハッブル定数と言いますが、この定数が分かればそれを逆算することで、宇宙が膨張を始めたとき=私たちの宇宙の年齢が分かることになります。


銀河(M101)
 そこで宇宙の年齢を導き出すためには、このハッブル定数を正確に計算する必要があります。しかしながらこれは非常に難しいことです。より正確な値を求めるためには、たくさんの銀河を観測し、それぞれの銀河の地球からそこまでの距離と、地球から遠ざかる速度を測定しなければなりません。様々な測定法がありますが、銀河までの距離を測るといっても銀河はとても遠くにあるので、私たちがものさしで測るように簡単には正確な距離を測ることは難しいのです。たとえば、1つの銀河に対していくつかの異なる方法で距離を測定しても、それぞれに違う距離が出てきてしまうというように、測定結果にかなりのばらつきがあるのです。また実際には銀河は同じ方向に向かって動いているのではなく、それぞれが違った方向に固有運動をしているので、その要素も加味しないといけません。ちなみに左の銀河は地球から約2250万光年の彼方の距離にあると計算されています。これはとりもなおさず、光の速さで2250万年かかる程とても遠方にあることを意味します。

 ハッブル自身が観測によって求めた宇宙の年齢は、約20億年でした。しかしながらその宇宙の年齢はその当時の観測精度を基に計算されたものです。現在の最新天体観測技術を駆使して作られたハッブル宇宙望遠鏡が観測したハッブル定数は、約80億年から100億年と導き出されました。

 ところが困ったことに、宇宙にはこの100億年よりも年老いた天体が存在しているのです。たとえば私たちの銀河系を取り囲むようにして分布している、球状星団という星のかたまりの天体があります。それらは観測の結果から約120億年前に誕生していることが分かっています。もしこれが本当だったら、宇宙ができる前にこれら球状星団が存在してしまうことになり、大きな矛盾を抱えてしまいます。つまり最新の観測技術を使っても、ある程度の誤差が生じてしまうことは、いたしかたがないということです。


球状星団


 そこである程度の余裕を考えて、現在では私たちの宇宙の年齢は100億年から200億年ぐらいのあいだで、約150億年ではないかと言われています。これからの観測により、この宇宙の年齢はより正確に求められていくはずです。


 A.あなたは星空をなにげなくふと見上げたことがありますか?。そこには明るく輝く星、暗い星、赤い色をした星、青白い星などで形作られるきっと名前も知らないたくさんの星座たちが、みなさんを暖かく見守っているのです。たしかに星座をあまり知らなくても、特別な天文学の知識を持っていなくても、ただ単に星を見ているだけで、心や気持ちがリラックスしてきてなんだか壮大な気分にひたれるものです。そのうえ、たとえば夏の夜空の天空を飾る代表的な星座の「はくちょう座」や「わし座」の星座絵が頭の中で描けたらとても楽しいと思いませんか。


 いま私たちが使っているこれらの星座たちは、もともとヨーロッパから伝わってきたものですが、そもそもそれらの星座たちは今から約5000年ほど前の古代文明発祥の地である、チグリス川とユーフラテス川の流れるメソポタミア地方で作られたといわれています。メソポタミア地方とは、現在の国で言うとイラクにあたるところです。その当時、メソポタミア地方の平原で遊牧をして羊を飼って住んでいたカルデア人が、夜な夜なオオカミから羊たちを守るために見張り番をしているとき、いつとはなしに夜空の目立つ星々を線で結んで、その地方に生息しているいろいろな動物たちや伝説の神様や英雄たちに見立てて、その姿を形成する星たちに名前を付けていったのが始まりのようです。

 古代の天文学が発達した場所にはその他にもエジプトやインドや中国などがありますが、現在伝わっている動物たちに関する星座には、どれもメソポタミア地方や中央アジア地方におもに生息していた動物の名前がつけられています。星座の起源がエジプトならば「らくだ座」や中国ならば「パンダ座」なんていう名前が付いていたかもしれませんね。


 こうして作られた星座の知識は、地中海沿岸で近隣諸国と貿易を営んでいたフェニキア人からギリシア人へと伝わり、そこで大きく発展しました。ギリシアでは伝わってきた星座と、ギリシアの神話や昔からの物語とをうまく合わせて、新しくギリシアの伝説の英雄や神々たちにまつわるお話を星座に組み込んだのです。こうしてギリシアにおいて、夜空には魅力あふれる星座の世界が作られていったのです。このギリシアの星座たちが、現在私たちになじみのあるおもな星座の基になっています。西暦150年ごろにプトレマイオスが書いた天文書「アルマゲスト」には、全部で48個の星座の名前が記録されています。なお余談ですが、欧米ではプトレマイオスのことを「トレミー」とも言います。

 15世紀にはヨーロッパにおいて、大航海時代を迎えます。それまではギリシアから見える北半球の星々を使った星座しか存在しなかったのですが、大きな船で資源やめずらしい食べ物を求めて南半球へも渡り、そこで見た初めての夜空にさまざまな新しい星座を形作っていったのです。
 またそのころ、北半球の星座と星座の空間を埋めるように小さな星座もたくさん作られました。その背景には、星座が定義されていない場所の天体の呼び名がなかったために、天文学者たち(ティコ・ブラーエ・バイエル・ラカイユ・ヘヴェリウスなど)が勝手に星座を作ってしまったのです。おかげで一時は全天で109個もの星座が作られてしまいました。なかには同じ星を使って異なる星座も作られるなど、天文学者の間では大きな混乱をまねくようになりました。


 そこで増えすぎた星座について整理や統合がなされたり、星座の占める領域を明確にして星座と星座の境界線を引いて、全世界共通の88個の星座にまとめることが、1930年の国際天文学連合で取り決められました。これが現在使われている星座に至る、なんと5000年にもわたるプロセスなのです。



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