2000年1月10日未明に見られる
皆既月食
月食中に3.5等星の掩蔽が見られる!




 20世紀最後の月食となった、2000年7月16日の月食は、梅雨明け当日となった関東地方をはじめとして全国的に良い天気になり、多くの方にご覧いただけたことと思います。

 そして、いよいよ迎える21世紀最初の皆既月食は、新年早々1月10日(水)の未明(1月9日の夜)に、西の空でおこります。

左写真:2000年7月16日の月食の全過程



 普段月は、太陽の光りに照らされて私たちにその姿を見せてくれているのですが、右の図のように太陽と地球・月が一直線上に並び、地球の影に月が入ることにより太陽の光を遮られるときに「月食」が起こります。その中でも「皆既月食」と呼ばれる現象は、月が地球の影にすっぽりと入ってしまう現象で、反対にすべてを隠しきることができない月食のことを「部分月食」と呼んでいます。

 東京での様子は下の画像の通りで、本影食終了直後に沈む半影没帯食(半影食のまま沈む)になります。1月9日の夜、日付が変わった1月10日の早朝3時48分から月が欠けはじめ、約1時間ほどした4時55分には月はすっかり地球の影に入り込んでしまいます。完全に影に入り込んだ月は、肉眼ではほとんど見えませんが、望遠鏡ではうっすらと赤みを帯びた色に鈍く光っているのを見ることができます。

 再び月が地球の影から出てくるのは約1時間ほど経った5時50分で、ここから約1時間かけて元の満月にゆっくりと戻ってゆき、西の空に沈む直前の6時57分には元の満月に戻ります。関東より東の地方では、月が欠けたまま沈みますが、西の地方ではもとの本影食までの全過程を見ることができます。なるべく西の空の開けた場所で観測するようにすれば、より長い時間月食を楽しむことができるでしょう。

東京での月食の様子を現したアニメーション 東京以外でもおおよそこの図と同じように欠けてゆく

2001年1月10日の皆既月食の主な現象の時刻(日本時間)

半影食のはじまり

02:50
※下記参照

本影食のはじまり

03:48
月が地球の影に入りはじめる

皆既食のはじまり

04:55
月全体が地球の影に入る

食の最大(食分1.19)

05:20
月が地球の影の中心に最も近づく

皆既食のおわり

05:50
月が地球の影から出てくる

本影食のおわり

06:57
月全体が地球の影から抜ける

月没(東京)

06:59
月が西の地平線に沈む

半影食のおわり

07:57
※下記参照
※半影食とは、太陽の光の一部だけが地球に遮られることにより、月が少し暗くなる影のことを言います。肉眼でははっきりとわからないかもしれませんが、望遠鏡でフィルターなどをかけて月の光を少し暗くしてみると、一部が薄暗くなっているのがわかります。

 日本では、この月食の最中に3.5等星の掩蔽(星食)という現象も起こります。月食中の月も、ふだんと同じように星座の中をゆっくり移動してゆきます。その時に月の向こう側にある星を隠していく現象のことを「掩蔽(えんぺい)」と呼んでいます。上の画像は、その移動していく様子をアニメーションにしたものです。この図には、星座の中を動いていく月と、月を隠している地球の影が描かれています。

 隠される星はふたご座δ星「ワサト」で、空の条件の良い場所なら肉眼でも見ることができる明るさの星です。双眼鏡や望遠鏡を使用すれば、投影された地球の影側の月の縁に、この星が「ふっ」と隠されて消える様子や、皆既中にふたたび月の反対側の縁から現れる現象をみることができるでしょう。

 次の月食もとても楽しみですね!。早めに計画を立てて是非皆さんもこの現象をお楽しみください!。

●このアニメーションには10等星までの星を書き込んであります。

(C)Copyright 2000 StarClick! all rights reserved