3年ぶりに日本で見られる!
皆既月食(7月16日)

 日本で見られるのは3年ぶりになる皆既月食が、7月16日に全国で見られます。

 普段月は、太陽の光りに照らされて私たちにその姿を見せてくれているのですが、右の図のように太陽と地球・月が一直線上に並び、地球の影に月が入ることにより太陽の光を遮られるときに「月食」が起こります。その中でも「皆既月食」と呼ばれる現象は、月が地球の影にすっぽりと入ってしまう現象で、反対にすべてを隠しきることができない月食のことを「部分月食」と呼んでいます。

 今回の皆既月食は、日本全国で大変よい条件でみることができます。宵の空が暗くなる20時57分から月が欠けはじめ、約1時間ほどした22時02分には月はすっかり地球の影に入り込んでしまいます。完全に影に入り込んだ月は、肉眼ではほとんど見えませんが、望遠鏡ではうっすらと赤みを帯びた色に鈍く光っているのを見ることができます。

 皆既中の月の色や明るさは、その時の月食の状況によって様々に変化します。特に今回は地球の影の中心近くを通る大変深い月食なので、皆既中の月はかなり暗くなることが予想されています。

 再び月が地球の影から出てくるのは約2時間ほど経った23時49分で、ここから約1時間かけて元の満月にゆっくりと戻ってゆき、日付の変わった17日0時53分には元の満月に戻ります。

2000年7月16日の皆既月食の主な現象の時刻(日本時間)

月出(東京)

18:45
月が東の地平線から昇ってくる

半影食のはじまり

19:46
※下記参照

本影食のはじまり

20:57
月が地球の影に入りはじめる

皆既食のはじまり

22:02
月全体が地球の影に入る

食の最大

22:55
月が地球の影の中心に最も近づく

皆既食のおわり

23:49
月が地球の影から出てくる

本影食のおわり

17日 00:53
月全体が地球の影から抜ける

半影食のおわり

17日 02:04
※下記参照

月没(東京)

17日 04:53
月が西の地平線に沈む
※半影食とは、太陽の光の一部だけが地球に遮られることにより、月が少し暗くなる影のことを言います。肉眼でははっきりとわからないかもしれませんが、望遠鏡でフィルターなどをかけて月の光を少し暗くしてみると、一部が薄暗くなっているのがわかります。

東京での月食の様子を現したアニメーション 東京以外でもおおよそこの図と同じように欠けてゆく
月の大きさは見やすくするために実際より大きく描かれています

 月食は、肉眼でも充分に楽しむことができる現象です。時間を追って少しずつ欠けていく月の様子を自分の目で確かめてみてください。その欠け際の様子が普通に月が欠けているときとは違う様子もわかるでしょう。

 また、双眼鏡や望遠鏡があるとさらに楽しく見ることができます。双眼鏡の場合は少し高めの倍率(10〜15倍程度)のものをカメラ三脚に固定して見ると見やすいでしょう。天体望遠鏡はどんな大きさの望遠鏡でも、充分楽しく見ることができます。肉眼では難しい皆既中の月の様子も、天体望遠鏡や双眼鏡ならその色や微妙なひかり具合も見ることができるでしょう。

 月食中の月も、ふだんと同じように星座の中をゆっくり移動してゆきます。その移動していく様子をアニメーションにした図を作ってみました(左の図をクリックしてください)。この図には、星座の中を動いていく月と、月を隠している地球の影が描かれています。

 特に皆既中の月は、真っ暗な星空に薄赤い色でぽっかりと浮かんでいるため、望遠鏡で見るとまわりの暗い星もいっしょに見ることができます。今回は皆既中の月のすぐ南に衝を迎えた小惑星ベスタ(5.4等)も見えており、皆既中の月と同じ視野にみることができます。ベスタ自身も少しずつ移動していますから、その様子とあわせて見てみると良いでしょう。

●このアニメーションには13等星までの星を書き込んであります。

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