館内を案内していただいてから、増沢さんと学芸員の木村 かおるさんにお話しをお伺いしました。
編集部:この仕事をはじめるようになったきっかけは何でしょうか?。
増沢さん:私は長野の豊科というところに住んでいたのですが、ここはとても星がきれいで、子どもの頃から星に興味を持っていたんです。ですから、ずっとこういう仕事に就きたくて、学校出てからすぐにここに入りました。
木村さん:私は最初から星を見るのを好きだったというわけではないのですが、小学校にあがったときに買ってもらった図鑑を見たときに、良くある星空を現したカマボコ型の絵が載っていて、そこに書いてある星の並びを覚えて、夏休みの宿題というとよくそれを写して出していました。その時に読んでいた本がどうやら野尻先生の本だったらしいです。私は当時東京の練馬に住んでいて、両親が共働きだったので、夏休みはおばあちゃんに連れられて新潟のいなかにいっていたのですが、夜は熊が出るから外に出ちゃいけないって言われていたんですけれど、たとえば花火をやるからって外に出てみると、天の川やさそり座とか良く見えるじゃないですか。そこから興味を持つようになって、星に親しんでいきました。
編集部:増沢さんはこちらで解説員をされて33年ということですが、昔と変わったことはなにかありますか?。
増沢さん:アポロ宇宙船のころは、皆さんの感心が宇宙に集まっていたのでしょう。とてもお客さんの数が多かったですね。そして、ボイジャー探査機が木星や土星の画像を送るようになったころが2つめのピークでしょう。それまでは地上から望遠鏡で見ていたものが、宇宙空間に出かけて行って情報量が格段に増えたことは、私たちにたくさんの興味を持たせてくれたと思います。この数十年間の進歩が、いままでの人間の歴史の中でも最もたくさんの宇宙のことが解った時代ではないかと思います。そういう時代を体験できたことは幸せだったと思いますね。
編集部:これは私の個人的な思い入れもあるのですが、例えばボイジャーが私たちに見せてくれた惑星の画像を見たときに「おおっ!」と感動したものが、今だったらハッブル宇宙望遠鏡の画像を見ても、あまり感動しないことがあるような気がするのですが・・・
増沢さん:慣れすぎもあるかもしれないですね。昔は何を見ても感動があった。でも、やはりいろいろな天文現象を見るとやはり凄いなと思いますね。例えば、去年・一昨年としし座流星群が話題になりましたよね。知識のあるないにかかわらず楽しめる現象。そこにいるだけで感動できる。一枚の写真をみるより感動しますよね。それで良いと思うんですよ。いっしょに感動する。「すごかったねー」。感動を共有する。
まぁ、天文や星を趣味とするのはほんの一部分だと思うのですが、花や鳥でもいっしょですよね。きれいなめずらしい花を見るために、高い山に登って苦労して見に行く。どんな大変な思いをしても実際に目にすることによって感動を得る。意外とそういうことを知らない人がいることも事実ですよね。
編集部:これまで、五島プラネタリウムはそういう星に興味を持ってくれた人が最初に足を運ぶ場所のひとつとしてその役割を果たしてきたと思うのですが、来年閉館ということになってどんなお気持ちですか?。
増沢さん:それはもちろんとても残念です。けれど、現在は各地にたくさんのプラネタリウムや天文台など星と接する場所ができたわけですから、それぞれの各館に頑張って欲しいと思います。解説のしかたや番組の作り方はいろいろ合って良いと思うんですよね。動きのある部分あり、静かな部分あり、またほっとする部分が合ったり。こうでなくちゃならないとかいうものは無いと思います。迫力のある映像や3Dとか、もちろんそればっかりではついていけないでしょうけれど、演出の方法としてそういうのも一つありますよね。
木村さん:これからのプラネタリウムは、それぞれの館の目的をはっきりもって、たとえば子ども館なら子ども向けプラネタリウムをどう使うかということを考えて欲しいし、その館が特徴を持つようになってほしいですね。そのためには番組を買ってきて流すだけではなく、いかにその地域の人達にどうやって使ってもらうのかということをそこにいる人が考えて欲しいと思います。
|