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(写真 東の地平線から昇るおおぐま座 撮影:スタークリック!編集部)

●北斗七星は春の星たちの目印●

 春の夜空には、冬のようにたくさんの一等星がきらめくような派手さにくらべるとちょっと地味ではあるものの、春がすみの中におぼろげに光る星たちをたどることができます。

 そんな中でも、北の空高いところに特に目立ってみえる七つの星。古代から人々はこの星をいろいろなものに見立ててきました。日本では「北斗七星」という名前がとても有名です。この名前は中国から伝わった呼び名で、「斗」とは「ます」のような四角い容器のことを差します。石油や塗料を入れたりする「一斗缶(いっとかん)」にその名前が残っています。

 北斗七星は、その「ます」の部分と、そこに取りつけられた取っ手の部分からなる6つの2等星と1つの3等星で形作られていて、春の星たちの中では最も解りやすい星の並びではないでしょうか。日本では、その「ます」と「取っ手」をひとつにして「ひしゃくぼし」と呼んでいた地方もあります。神社などでお清めのために水をすくう道具がおいてありますね。あれが「ひしゃく」です。現代の道具に当てはめれば、「フライパン」だったり「スプーン」だったりするのでしょうか?。

 日本の方言から調べてみると、特に日本海側では「かじぼし」と呼ぶ地方あります。船の進行方向をあやつる梶の形に見立てたのでしょう。海と密接な関係のある地方ならではの見方でしょう。また、星が七つあることから、一週間の7つの曜日に当てはめ「しちよう星」(七曜星)と呼んでいた地方もあるようです。

 ヨーロッパでは、馬につないだ馬車に見立てていたところが多く、日本でも「くるま星」と呼んでいた地方もあるようです。皆さんはこの星の並びからどんなものを想像するでしょうか。

 現在の星座は「おおぐま座」。古代メソポタミアの人々は、この北斗七星とまわりの星をつなげて、大きな熊の姿を描いていました。少し暗い星を使って星を連ねてみると、なるほど。4本の足と長いしっぽをもった大きな熊の姿が見えてきます。良く間違われることですが、「北斗七星」は「おおぐま座」の一部ですから星座ではありません。

 おおぐま座が見つかると、そこから春の星座をたどっていくことができます。北斗七星の「ひしゃく」の柄の部分のカーブをそのままたどっていくと、春の星たちの中でもひときわ明るく輝くうしかい座のアルクトゥールスにたどり着き、それを更に伸ばすとおとめ座の中で光る一等星スピカにたどり着くでしょう。この曲線のことを「春の大曲線」と呼んでいます。

 おおぐま座の星たちには、それぞれ「くま」に関する名前がつけられています。例えば、柄の先にあるα(アルファ)星には「ドゥーベ」=アラビア語でそのもの「くま」・β(ベータ)星には「ミラク」=腰・γ(ガンマ)星は「ファクダ」=もも・ちょっと暗いδ(デルタ)星は「メグレズ」=しっぽのつけね といった具合です。

☆ワンポイント:星座の中に付けられている「α」「β」「γ」などのギリシャ文字は「バイエル名」と呼ばれるもので、17世紀のドイツの天文学者バイエルが星図を作る際に、それぞれの星座の星々を区別するために、おおよそ明るい星の順にギリシャ文字を与えたものです。



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