●質問● 東京都小平市 Mさん |
●回答● 兵庫県立西はりま天文台公園 尾林 彩乃先生 |
エネルギーも放射される |
夜空に光る星たち。とっても綺麗ですが、「どうして光っているの?」という疑問はまず1番にわきあがってくるでしょう。そして、星の中では核融合反応という、水素原子4個がくっついてヘリウムになる反応が起きていて、その時に出るエネルギーで光っているということはたくさんの人が知っているとおりです。 一方で、星はよく見るといろんな色をしています。冬の代表的な一等星の中では、白い星シリウス、黄色い星プロキオン、赤い星ベテルギウス、青い星リゲル、など。おっしゃるとおり、これは、星の温度が違うからです。具体的に言うと、星の“表面”温度です。赤い星は温度が低くて3000度くらいから、太陽は黄色の星で6000度、そして、青い星では30000度くらいまであります。星の表面から光を出すために星の中で燃えて(反応が起きて)いるわけですが、中の反応と、結果として見えている星の表面温度(=色)は、一体どういう関係があるのか? それが、知り合いさんの言いたいことではなかったのか、と想像し、それについて説明したいと思います。 |
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質量の小さい星の内部では、温度が低く原子の運動が鈍いため、核融合反応が起こりにくく発生するエネルギーも少ない |
星の内部で核融合反応を起こすには、約1千万度以上の温度が必要です。つまり、星の内部は超高温状態にあります。質量の大きい星ほど、温度が高くなり、たくさんのエネルギーを出すことができます。このエネルギー発生率は温度に敏感で、ちょっと温度があがると出てくるエネルギーがどっと増えます。中心でできたエネルギーは、光の形で運ばれてゆきます(放射)。 一方で、中で作られるエネルギー(熱)による圧力と、星の質量による重力とのバランスで、星の半径も決まります。これはその名のとおり、星という風船みたいなものが、自分の重力で縮もうとしている力と、星の内部の温度が高いので熱運動から、広がろうとする力がつりあっているという状態です。 こうして星の半径が決まれば表面積も決まり、内部から表面までやってきた全エネルギー(光度)をその表面積で放出する時、どのくらいの温度となって星の表面であらわれるかが決まるのです。 この表面積とエネルギーの量との関係により、質量の大きい星は、多量に内部でエネルギーが作られるのですが、それに対してそれほど表面積が大きくないので、温度を高くしてたくさんエネルギーを出すしかありません。一方質量の小さい星は、作られるエネルギーをまぁまぁの大きさの表面積で出すので、温度が低くてよいのです。 |
質量の大きい星の内部では、温度が高く原子の運動が早いため、核融合反応が起こりやすく発生するエネルギーも多い |
以下に、星のそういったパラメーターのおよその値を表にしてみました。
一方で、星が進化して、主系列の段階が終わり、ヘリウムが炭素や酸素になるといった反応で光る巨星段階になると、エネルギー発生のしくみが変わるので内部のバランスも変わり、半径が大きくなって赤い色に対応する温度で光を出すようになります。ベテルギウスなど、私達が普段よく見る赤い1等星は、こういった巨星の段階にあります。 星の色は星の表面温度を示しているのですが、これまで書いてきたとおり、星の質量と中での反応が、本当はそれを決めていたのです。このようなお話は、「恒星の内部構造論」ということで、大学で天文学のやや専門的な講義を取る人は、式の応酬で必ず習うものです。(^^; |