毛利宇宙飛行士、再び宇宙へ(STS-99 エンデバー号打ち上げ)

H−IIロケット8号機の打上げ失敗についての報告




2月 11日(月)米国中部標準時間 飛行 1日目

エンデバー号打上げ!


射点に向かう毛利宇宙飛行士

上昇するエンデバー号

ケネディ宇宙センター
のプレスサイト
 毛利宇宙飛行士ら6人のクルーを乗せたスペースシャトルエンデバー号(STS-99)は、家族や友人、関係者等が見守る中、米国東部標準時間 2月11日午後12時43分40秒(日本時間 2月12日午前 2時43分40秒)に、フロリダ州NASAケネディ宇宙センター(KSC)から打ち上げられました。これは2000年代最初の有人宇宙飛行です。

 エンデバー号は高度約233kmの地球周回軌道に投入されました。投入後、カーゴベイ(貨物室)のドアが開かれ、画像やその他のデータを送信するためのKuバンドアンテナの展開・起動が実施されました。

 その後、この飛行の主目的である地球の立体地形図を作成するために地形データを取得する装置であるSRTM(Shuttle Radar Topography Mission)が起動され、2月11日午後 5時27分(同 2月12日 午前 8時27分)から 2月11日午後 5時44分(同 2月12日午前 8時44分)まで17分かけてマストが展開されました。
 このマストの長さは60mあり、20階建てビルの高さに相当します。これほどの長さのマストはこれまで宇宙で使用したことがありませんので、このマストの伸展/収納作業は本ミッションを左右する大変重要な作業になります。このマストは重量約300kgの船外アンテナをシャトル本体左舷から60m離れた位置に支持するための伸展式マストです。打上げ及び帰還時には、約1/20の長さに折り畳まれます。これは国際宇宙ステーションの太陽電池パドル展開用マスト技術から応用したものです。

 SRTMによる観測は、米国時間の今夜遅くに開始される予定です。
 この飛行期間中に、北緯60゜から南緯56゜の間の陸地の地形データを取得します。これは地球の陸地の80%に相当します。
 取得するデータは9.8テラバイト(CD1枚あたり650メガバイトとして約15,000枚分に相当)もの膨大なもので、その解析には1年〜1年半を必要とします。
 SRTMの他には、米国、日本、ドイツなどの中学生がスペースシャトルに備えつけたカメラで写真を撮りその写真を使って研究を行うEarthKAM教育プログラムや、高精細度テレビ(HDTV)カメラで地球を撮影することなどもおこなわれます。

本日の毛利宇宙飛行士
 今回の飛行では、6人のクルーはレッドチームとブルーチームに別れて2交替で仕事をします。毛利宇宙飛行士は、ブルーチームの一員です。ブルーチームは、米国中部標準時 2月11日 3:44pm(同2月12日 6:44am)頃に就寝しました。本日の米国中部標準時 9:44pm(同2月12日12:44pm)頃に起床する予定です。

本日の毛利宇宙飛行士の食事(予定)
朝食 昼食 夕食
- チキンコンソメスープ (R)
クラッカー (NF)
乾燥あんず (IM)
桃 (T)
日本茶 (FF)×2
グレープフルーツジュース (B)
チキンライス (R)
セロリスティック (FF)
チョコレートプリン (T)
日本茶 (FF)
ストロベリージュース (B)
出典:http://spaceflight.nasa.gov/shuttle/archives/sts-99/crew/menumohri1.html

I:放射線照射殺菌済み IM:半乾燥状態 R:(温)水を加えて調理する NF:自然状態でパック B:飲み物 FF:生鮮 T:加熱


(NASDA News No.218 2000年1月号より)

H−IIロケット8号機の打上げ失敗についての報告

事故対策本部を設置し、失敗原因の究明へ

H−II8号機の打上げ経過

 NASDAは、平成11年11月15日16時29分(日本標準時)に、運輸省航空局/気象庁の運輸多目的衛星(MTSAT)を搭載したH−IIロケット8号機を種子島宇宙センターから打ち上げましたが、第1段エンジンの異常停止により予定の飛行経路から外れたため、当初予定していたMTSATの軌道投入などを実施することができなくなりました。

 飛行中の主要イベントについて表に示します。ロケット打上げ時の天候は晴れ、北北東の風7.7m/s、気温22.5℃でした。固体ロケットブースタ(SRB)の燃焼は正常で、リフトオフ後(X+)96秒にSRBの切り離しが行われました。第1段エンジン(LE−7)も正常に燃焼を行っていましたが、X+約239秒において、計画よりも約107秒早く燃焼を停止しました。同時に姿勢制御が不能となり姿勢異常状態となりました。

 ロケットはそのまま慣性飛行を続け、X+288秒に衛星フェアリングを分離し、高度130kmに到達後に徐々に高度が低下しました。X+328秒に第2段エンジンが着火し正常に燃焼しましたが、姿勢異常状態で高度は低下し続け、X+439秒で地上局ではロケットからのデータ受信ができなくなりました。これによりX+459秒に保安用コマンドを送信しました。ロケットは小笠原諸島の北西約380kmの海上に落下したものと推定しています。

打上げ失敗の原因究明に向けて

 MTSATの軌道投入に失敗したことを受け、ただちにNASDAは本社に事故対策本部を設置し、原因究明作業を開始しました。

 まずH−II8号機の失敗原因の徹底した究明が重要との認識のもとで、現在事故対策本部では、打上げ時に取得した全データを分析し、1段エンジンの異常燃焼停止に関する調査分析をすすめるとともに、逐次宇宙開発委員会への報告を行っています。原因究明に関する12月1日現在の状況は以下の通りです。

(1)打上げ時のデータを整理し、1段エンジンを中心とした重要項目についてテレメトリデータの処理分析を実施した結果、異常発生時刻(リフトオフ後約239秒)までにロケット各系に異常な兆候は発見されないことを確認しました。

(2)第1次の故障の木解析(FTA)を実施し1段エンジンの停止の要因がエンジン内部にあることを結論し、1段エンジン周りの破損状況、流体漏洩などの異常現象の推定を行い、FTAを詳細化して不具合の推定要因を以下の3つに絞りました。

a.液体水素ターボポンプを含む水素配管系の閉塞

b.液体水素ターボポンプ下流配管系の外部への開口

c.プリバーナ燃焼室からタービン上流部の外部への開口

(3)8号機の製造履歴の詳細調査を引き続き進めるとともに、今後、発生現象の考察、エンジンの作動点解析、エンジン各部の強度余裕の評価、過去の試験結果との比較解析を実施してFTAをさらに詳細化し、不具合の原因究明作業を進めます。

(4)海洋科学技術センターの協力により同センター所有の深海調査研究船「かいれい」および同船搭載の無人探査機「かいこう」を使用して11月20日から、小笠原諸島北西約380 kmの海域で捜索調査を行いました。その結果11月27日と11月30日に第1段ロケット機体の複数の部品が発見されました。また、12月19日から再度調査を実施しております。

H−IIAの開発へ経験を活かします

 今回の打上げは、98年2月のH−IIロケット5号機の失敗を踏まえ、確実な打上げに向けてできる限りの対策を施し万全を期して臨んだ中での連続2回目の失敗という大変残念な結果となりました。国民生活に欠かせない実用ミッションが達成できず、今回の打上げ失敗が社会に与える影響は極めて大きなものと認識しています。

 皆様の期待に応えることができなかったという事実を重大に受け止め、8号機の不具合原因の早急かつ徹底的な究明に全力をあげ、信頼を回復すべく着実に、また万全を期してH−IIAロケットの開発に取り組みたいと考えています。

表 H-IIロケット8号機主要イベント(リフトオフ後の時間)

イベント 実測値 計画値
1.第1段主エンジン着火 -6秒 -6秒
2.リフトオフ 0秒 0秒
3.固体ロケットブースタ燃焼終了 1分33秒 1分34秒
4.固体ロケットブースタ分離 1分36秒 1分37秒
5.衛星フェアリング分離 4分48秒 4分15秒
6.第1段主エンジン燃焼停止 3分59秒 5分46秒
7.第1段・第2段分離 5分22秒 5分54秒
8.第2段エンジン第1回燃焼開始(SEIG1) 5分28秒 6分00秒
●全系オフ(全ての射場局の受信が不可) 7分17秒 −
●指令破壊コマンド送信 7分39秒 −
9.第2段エンジン第1回燃焼停止(SECO1) − 11分28秒
10.第2段エンジン第2回燃焼開始(SEIG2) − 24分10秒
11.第2段エンジン第2回燃焼停止(SECO2) − 27分14秒
12.MTSAT分離 − 28分49秒



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