くじら座の変光星ミラが極大

9月27日 午前1:00ごろの南の空

 「ミラ」という名前は、星に詳しくない方でも耳にしたことがあるでしょう。この意味は、アラビア語で「ふしぎ」という意味を持ちます。こんな名前を持つ星が、くじら座の心臓のところで光っています。

 くじら座のο(オミクロン)星ミラは、明るさの変わる星「変光星」の代表格として古くから知られています。その明るさは、最も明るいときは2.0等と都会でも見ることができるほど明るくなりますが、逆に最も暗いときは10.1等と、大きな望遠鏡を使わないと見ることができないほど暗くなってしまいます。

 変光星にはいろいろなタイプがあり、有名なところではペルセウス座β(ベータ)星の「アルゴル」(アラビア語で悪魔)のように、2つの星がまわり合いながらお互いの星を隠すことでその明るさを変えるものがあり、これを「食変光星」といいます。これに対して輝いている星自身が膨らんだり縮んだりして明るさを変えている星のことを「脈動変光星」といい、ミラはその代表格として「ミラ型変光星」等と呼ばれています。ミラ型変光星は、星の一生の中でもかなり年老いた星と考えられていて、星が光などのエネルギーを出すために星の内部でおこしている核融合反応と、星自体の重力のバランスの釣り合いが取れなくなることにより、このような「脈動」を起こすようになります。

 ミラ型変光星は、その大きさが変化します。星自体の体積が大きくなると、星の内部の核融合反応が鈍くなり、星の明るさは暗くなってしまいます。これがある程度の大きさになると、星自体の重力により内側に引き寄せられる力のほうが強くなり、星の体積が小さくなっていきます。すると、それまで活発でなかった核融合反応が起こりやすくなり、どんどんと明るくなってゆきます。そして、たくさんのエネルギーが放出されるようになると、今度は星自体が大きく膨らんでいき、体積が大きくなると核融合反応が起こりにくくなるため、明るさが暗くなってゆきます。

 つまり、星が大きいときには暗く、小さいときに明るいことになります。私たちが日常的に考えると逆のように思えますが、宇宙に浮かんでいる星では、このような現象が起こっているのです。

 ミラは、その明るくなる周期が約332日ですが、最も明るくなる日は10日〜1カ月程度ずれるときもあります。今回の極大は9月27日の予定ですが、この前後には肉眼でこの赤い星見えるようになるはずです。

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