塵(ちり)のリングは新しい惑星系のサイン

 惑星系の形成に関する理論の大多数は、新しい星の周辺を取り巻く塵(ちり)とガスの円盤から新しい惑星系が生まれ出ると想定しています。一方、ある科学者グループは惑星系形成の新しいコンピュータモデルを提案し、惑星系内でひとたび惑星が形成されると、円盤が塵のリングに変化するのではないかと推論しています。


コンピュータで惑星系形成の新モデルを創出


 惑星系形成理論のほとんどは、平たい円盤のような塵とガスの星雲が若い恒星の周辺で渦を巻いており、その中で微小惑星体が衝突と合体を繰り返した結果惑星が出来上がっていくと説明しています。惑星がより大きくなるにつれ、衝突で欠けた膨大な数の破片が星雲内に残り、これが中央の星が発する光を反射して塵の円盤のように見えるのです。
 一方、ハーバード・スミソニアン天体物理学センターと米宇宙科学研究所の天文学者らは10月20日(米国時間)、恒星HR4796Aを取り巻く塵のリングの研究に基づいて考え出された、惑星系形成の新しいコンピュータモデルを発表しました。昨年リングが発見されて以来、天文学者らはこのリングを惑星系が生まれつつある過程の一部を示すものではないかと仮定し、ハッブル宇宙望遠鏡が撮影したリングの画像を分析してきました。

塵の円盤から塵のリングへ


 天文学者らがコンピュータを使用して初期の惑星系をシミュレートした結果、ひとたび冥王星のような惑星が形成されると、微小惑星体の衝突から生じた塵が平たい円盤にはならずに、くっきりとした緻密なリングを形作ることが発見されました。リングは新しく生まれた惑星系を内側と外側の地域に分ける境界線のような役割をしており、その内側では新惑星が軌道を周回し、外側ではその他の惑星やより小さな天体が形成を続けているのではないかと推測されています。

 HR4796Aを取り囲む塵のリングをとらえた上記左の画像は、ハッブル望遠鏡に搭載されたコロナグラフ「NICMOS」を使用して撮影されました。天文学者らは、リング構造がはっきりわかるようにこのハッブル画像をコンピュータで変換し、真中の画像を作成しました。右の画像は同様の処置によって作られた私達の太陽系のモデルで、惑星系の形成がHR4796Aと同じ段階にあることを示しています。HR4796Aのリングの直径は、冥王星の軌道直径のおよそ2倍です。白い四角の点は中心星の位置を示しており、この場合真中の画像ではHR4796A、右の画像では太陽に相当します。
写真(全て擬似カラー):(左)HR 4796Aの塵(ちり)リングをとらえたハッブル宇宙望遠鏡の赤外線画像、(中)左画像のコンピュータモデル、(右)太陽系のコンピュータモデル

カイパーベルトは塵のリングの置き土産?


 若い恒星を取り巻くこのような塵のリング構造が、新しく生まれた惑星系全てに共通する特徴だとすれば、リングは今後の宇宙観測において、初期の惑星系がどの形成段階にあるかを知る指標になります。リングのある惑星系は内部ですでに主要な惑星が形成されていることを意味し、一方塵の円盤が残っているものは未だ惑星が形成途中の段階であることを意味します。

 天文学者らはこの新モデルに基づき、私達の太陽系にはその歴史の始まり以来、最初の1千万年から1億年の間に塵のリングが存在したのではないかと推測しています。リングが最終的に消滅した時、重い天体が多数残された可能性がありますが、これらはカイパーベルトの起源を明らかにするものかもしれません。


関連サイト: ハーバード・スミソニアン宇宙物理学センター



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