新型天文用RGB干渉フィルターのご紹介 |
(株)ムトーエンタープライズ 中西昭雄
東京都世田谷区池尻3−1−3
電話03-5486-7516 Fax03-5486-7171
かねてより、(株)トーカイ−MUTOH−(有)光映舎で検討していた、新型のRGB干渉フィルターが完成しました。テストの結果なかなか良かったのでご報告いたします。
1. 新型フィルター開発の背景
アマチュア用ローコスト冷却CCDカメラには、米国Kodak社製KAF-0400/1600が採用されています。このCCD素子は数多くの特長を持っていますが、欠点としては400〜500nmの青色感度の低さが指摘されてきました。
(図1.KAF-0400分光特製図)
青色感度の低さはKodakに限らずCCD素子自体の特性とされていましたが、現在では改良された素子も多く存在します。
(図2.SONY ICX074、Kodak KAF-1401Eの例)
このためKodakユーザが3色分解−カラー合成を行おうと思った場合、特に青の露出時間がかかるのですが、青色の吸収型フィルターは特性の良いものが作りにくく、なおさら青の露出時間がかかるか青の特性を悪くするしかなかったのです。
(図3.光映舎RGBフィルター)
今回(株)トーカイが開発した干渉フィルターは理想に近い特性を持ち、良好なカラーバランスを得やすくなっています。
(図4.トーカイRGBフィルター)
これまで干渉フィルターはその製造プロセスと製造数から、かなりのコスト高でしたが、(株)トーカイの努力により、ローコストの干渉フィルターが実現したのです。
2.テスト内容
・ 撮影日時 :1999年4月14日
・ 撮影場所 :山梨県北巨摩郡高根町清里
・ 使用光学系:300mm望遠レンズ
・ 撮影対象 :M8・20、M27
・ 使用カメラ:MUTOH CV-16L+フィルターターレットFC-06
・ 使用フィルタ:
(1)光映舎製従来型吸収フィルター(新) R60+G533+B440
(2)光映舎製従来型吸収フィルター(旧) R60+G533+B460
(3)トーカイ製新型干渉フィルター TYPE-3
テスト当日は春がすみの影響も少なく、この時期としてはまずまずの透明度。望遠レンズ+フィルターターレットで、撮影はいたって簡単におこなっています。RGBの特性を見ることが主目的なので、あえてLRGB合成はおこなっていません。従来のRGB合成です。
3.実写結果
(1) 光映舎製従来型吸収フィルター(新) R60+G533+B440の組み合わせは、カラーバランスはまずまずであるものの、とにかく青の露出時間がかかります。また緑の露出時間もやや多目にかかります。露出時間が長く必要になると、ガイディングエラーが発生しやすくなり、結果として良い画像にならなくなる確率が高くなってしまいます。
(2) 光映舎製従来型吸収フィルター(旧) R60+G533+B460の組み合わせは、とにかくカラーバランスを整えるのが大変です。青色フィルターにシアンに近いものを採用しているため、露出時間は短いものの、緑の画像とは差が少なく、青と緑の色分離に苦労しました。
(3) トーカイ製新型干渉フィルターでは、露出時間は分光特性通りであり、色再現もフイルムに近く非常に自然です。またIRカットフィルターを使用しなくても良いことから扱いも容易です。ただし干渉フィルターは湿気に弱いことから、保管には注意が必要です。また干渉膜が弱いため傷にも注意しましょう。
(サンプル画像2枚、M8/20、M27)
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<参考>
(株)トーカイ製新型干渉フィルターの特長
1. 透過率が高く露出時間が短縮できる
2. 透過特性は裾野が寝ており、中間色を豊富に再現可能
3. BとGは500nmで、GとRが600nmで、それぞれ50%でクロスしており、自然な色再現が可能
4. TYPE-2はノーマルな特性、TYPE-3は紫色の再現が可能
5. IRカットフィルターが不要のため、好S/Nが期待できる
6. 厚みが薄いため、焦点移動が少ない
7. 低価格
(有)光映舎ではHPでアナウンスを開始しています。MUTOHでも7月号の広告ページでアナウンスを開始します。
![]() (図1.KAF-0400分光特製図) |
![]() (図2.SONY ICX074、Kodak KAF-1401Eの例) |
![]() (図3.光映舎RGBフィルター) |
(図4.トーカイRGBフィルター) |