公開天文台・プラネタリウム紹介 Part 2
文・写真 スタークリック編集部 S.Funamoto
今回は、今年で開園10年目を迎える兵庫県立西はりま天文公園を訪れました。「公開天文台」の礎とも言えるこの公園は、兵庫県の中西部、中国自動車道の通る山間の町佐用郡佐用町と上月町にまたがるある大撫山(おおなでさん)の山頂にあにあります。 | ![]() |
☆西はりま天文台公園の概要
兵庫県立西はりま天文台公園は、兵庫県労働部のCSR施設(勤労者福祉基金による文化(Culture)・スポーツ(Sports)・レクリエーション(Recreation)施設)として、1990年4月22日に開園しました。勤労者をはじめ広く一般の人々に、星や宇宙を通して自然への親しみ、理解を深めることを目的とした野外施設として作られたこの公園は、県内はもちろん全国から多くの方に利用されています。宇宙は私たち生命のふるさとであり、宇宙を知ることは人類をよりよく理解することへとつながります。「宇宙は人類のふるさとです」をキャッチフレーズに、常に「宇宙の中の人間を」意識しながら活動を展開しています。 園内には、60cm反射望遠鏡を備えた天文台棟をはじめとした各種観測設備の他、学校教育・社会教育のための各種設備や宿泊施設を備えており、学校団体や各種グループ団体に幅広く利用されています。 |
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特に学校教育では、「自然学校」の受け入れを積極的に行っています。兵庫県では、「明日を担う、こころ豊かな人づくり」推進事業の一環として、県下の公立小学校5年生全員並びに一部中学生を対象にして、5泊6日の期間、学習の場を教室から豊かな自然の中に移行する「自然学校」を実施しています。毎年千人を越える子ども達が、この天文台公園で天体観測や本物の美しい星空を体験しています。 |
☆西はりま天文台公園までの道のり
![]() 山道の途中にあるモニュメント |
![]() ガードレールも茶色 |
![]() 公園入り口の看板 |
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(右の写真は佐用駅) |
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☆60cm反射望遠鏡
西はりま天文台公園のシンボル的存在のこのドームには、西村製作所製の60cmカセグレン式反射望遠鏡が収められています。架台はフォーク型赤道儀になっており、天体の導入はパソコンからの司令により自動的に目的の天体を捉えることができるようになっています。普段、昼間はドームは開けていないのですが、今日は特別に昼間の星をみせていただけることになり、ちょうど天文台に上がって来られたお客さんも一緒に見てもらいました。 |
![]() 画像をクリックすると望遠鏡が動いている様子を見ることができます フォーク型60cmカセグレン式反射望遠鏡 |
![]() 天体自動導入用のコンピュータ |
![]() ハンドセットを操作する尾林さん |
![]() このハンドセットでピント合わせ・望遠鏡の細かい移動・ドームの回転を行う ピント合わせは副鏡をモーター動かしている |
![]() 神戸からいらしたお客さん 昼間の星をみてびっくり |
このカップルは神戸からドライブがてらこの天文台に立ち寄ったそうで、昼間の星が望遠鏡で見えることにびっくりしていました。神戸の夜空はとても明るくて星は少ししかみえないけれども、ときどき夜空を見上げていると仰っていました。そして、町の中でももっとたくさんのほしが見えたら良いと思うとお話してくださいました。
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60cm望遠鏡を使った天文台の公開観望会は、毎日公園の宿泊施設の利用者を対象に行っているほか、毎週日曜の夜には宿泊者以外でも参加できるようになっています。 |
☆西はりま天文台公園の宿泊施設
西はりま天文台公園は、天文台というその性質から夜間の活動が多くなることや、社会教育施設としての側面から宿泊施設が充実していることが大きな特徴です。 |
![]() ![]() 主に学校活動やグループ活動に利用されるグループ用ロッジは、20人収容可能な部屋が6つあり、屋外に設置された自炊施設を利用することもできます。グループ用ロッジの利用は10名以上の団体で申込み、1名1泊\1,000(中学生以下\500)で利用できます。 |
部屋の中は木を多用したとても温かみのある作りで、ちょっとした別荘気分の味わえる素敵なお部屋です。各部屋が完全に分かれていますから、子供連れでも安心して宿泊できると思います。
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これらの宿泊施設等の利用には事前の予約が必要です。予約は西はりま天文台公園管理棟(0790)82-0598で、6カ月前から受け付けています。 この料金と利用しやすさですから、週末や夏休みはたいへんな混雑だそうです。お近くの方は是非いちど利用してみてはいかがでしょうか。 |
☆西はりま天文台公園のスタッフ
![]() 「今日は新聞に園内のラベンダーのことが記事として載ったので、たくさんの方にご来園いただきました。近くの南光町には有名なひまわり畑もあり、いっしょにご覧になった方も多いのではないでしょうか。多くの方にきていただけるのはありがたいことです」 年間どのくらいの人々がこの公園にいらっしゃるのでしょうか。 「だいたい年間10万人くらいのかたに来ていただいています。そのうちロッジの利用者は2万人くらいでしょうか。」 今後のこの公園のビジョンのようなものはありますか?。 「現在ある60cm望遠鏡の入った天文台棟のとなりに、新たに2m望遠鏡を設置する計画が2年前から予算に組み込まれています。来年か再来年には着工して、3年後くらいには完成できるのではないかと思います。私たちも今から楽しみにしています。」 目で見ることができる2m望遠鏡!。完成するのが楽しみですね!。 |
この天文台では、研究者と市民が直接対話できる場所であることも特徴ではないかと思います。今回は3人の研究員の方に直接お話しをお伺いすることができました。 |
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●まず率直な質問なのですが、なぜ天文台の研究員という仕事に付きたいと思ったのか、その理由をお聞かせいただけますか? 石田 俊人さん 時政 典孝さん |
☆西はりま天文台公園友の会
西はりま天文台公園の事業の1つとして、開園当時から「西はりま天文台公園友の会」があります。年会費\2,000(個人会員の場合)で公園内の各施設の利用が優遇されるほか、2カ月に一回の例会への参加、天文台発行の各種発行物の配布などの特典があります。1999年3月現在の会員数は688名。今回は、友の会の第56回例会の様子を取材してきました。 |
![]() 司会の圓谷研究員 |
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続いて、黒田天文台長による「なにぬねノート」。今回のお話しは月の表面の謎でした。満月のときの月が、濃淡の差が少なく全部均等に光って見えるのは、月の表面に微粒子があるために起こること。波長の長いレーザー光では、鏡のようにつるつるの丸い形になることなどを、解りやすく説明してくださいました。 |
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☆西はりま天文台公園のイベント
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西はりま天文台公園では、定期的に一般を対象としたイベントを開催しています。この日は、第66回天文教室が開かれ、森本園長の講演による「ノストラダムちゃんありがとう!!!」が開かれました。また午後からは、SF作家の小松左京さんを迎えて、「この世の終わりフェスティバル」と題したトークショーも行われました。当初はどちらのイベントもスタディールームで行われる予定でしたが、予想以上に多くの方が集まったので、急遽天文台棟前の芝生にシートを広げての野外講演会となりました。写真の通り大勢の方が貴重なお話しを聞くことができました。 |
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☆西はりま天文台公園の今後のイベント予定
●第68回天文講演会 1999年9月12日 日曜日 午前10時30分〜午後0時00分 講師:時政典孝(西はりま天文台主任研究員) |
●第69回天文講演会 1999年10月10日 日曜日 午後2時00分〜午後3時30分 講師:半田利弘氏(東京大学天文学教育センター 助手) |
●第70回天文講演会 1999年11月14日 日曜日 午前10時30分〜午後0時00分 講師:黒田武彦(西はりま天文台長) |
●しし座流星群特別観望会 1999年11月17日 水曜日 夕方〜1999年11月18日 木曜日 朝 内容・要項は現在検討中 詳しくは天文台までお問い合わせください。 |
※天文講演会は、毎月第2日曜日に開いています。友の会の例会の翌日となる奇数月は午前中に開催し、偶数月は午後2時からの開催となります。今後の天文講演会の予定については、西はりま天文台公園HomePageをご覧ください。 |
西はりま天文台公園HomePage : http://www.nhao.go.jp/index-j.html
西はりま天文台テレフォンサービス : (0790)82-3377
西はりま天文台公園友の会事務局 : (0790)82-3886
西はりま天文台公園管理棟(宿泊などの問い合わせ) : (0790)82-0598
書籍のご案内 ![]() 神戸新聞に連載された「星空探検」を改題・加筆してまとめたものです。西はりま天文台に寄せられた天体への素朴な疑問をもとに、最新のエピソードをまじえて四季の星空を解りやすく解説します。 A5版 309ページ 定価\1,600円(税別) |