冥王星と衛星カロン

ファーストライト画像

一般公開



冥王星と衛星カロン(冥王星にエタンの氷、カロンに水の氷を発見)


 冥王星は太陽から60億キロ離れた最も遠くにある惑星で、その直径は2,274 km(地球の約6分の1)しかない。1978年に冥王星の衛星が発見され、カロンと命名された。カロンは直径が1,172kmしかないが、相対的には冥王星の半分ほどもある大きな衛星である。惑星・衛星というよりは、「連惑星」とでも呼ぶ方が適当かも知れない。カロンは冥王星から平均距離で19,640 km離れており、6.387日で冥王星のまわりを1周する。カロンの自転と軌道運動は同期しており、ちょうど月がいつも同じ面を地球にむけているように、常に冥王星に同じ面をむけながらその周囲をまわっている。また冥王星の自転もカロンの軌道運動と同期しており、冥王星は常に同じ面をカロンに向けている。
【解説】
 冥王星とカロンは、地球から観測するとわずか0.9秒角しか離れていないために、ごく最近までの地上観測では、大気の擾乱のために像がぼけて二つの天体がくっついた画像しか得られなかった。直径8.2mの高精度主鏡と、マウナケア山頂の安定した大気のおかげで、すばる望遠鏡は冥王星とカロンがはっきり分離している姿を赤外線でとらえた。撮影時のシーイング(大気の擾乱によって決まる見かけの星の大きさ)は0.35秒角だが、実際の冥王星の大きさは0.08秒角、カロンは0.04秒角しかないため、両天体ともその表面が分解されて見えているわけではない。それぞれの天体の実際の大きさを下部に示した。



大型光学赤外線望遠鏡「すばる」
ファーストライト画像

オリオン星雲(オリオン座)
 我々から1500光年の距離にあるオリオン星雲の中心部を近赤外線で観測したもの。画像のほぼ中心に4個の明るい星からなるトラペジウム(不等辺四角形)が見え、その周囲に多くの星が見えている。これらの星の大部分は、星雲の背後にあるオリオン分子雲中に埋もれた生まれて間もない小質量の星で、赤外線でしか見えない。視野全体にわたって青く淡く輝いているのは、トラペジウムが放つ強力な紫外線によって高温に電離されたガス。画像の左下には電離波面オリオン・ブライト・バーが見られる。

オリオンKL領域(オリオン座)
 我々から1500光年の距離にあるオリオン雲内のクラインマン・ロー(KL)星雲付近の領域を拡大した画像。絶対温度2000Kの水素分子が出す輝線(波長2.12ミクロンの近赤外線)で撮影した。これは、すばる望遠鏡がその高い解像力と水素分子輝線の組み合わせで初めてとらえた約1光年のサイズ(太陽系の数百倍)にわたる宇宙の大スペクタクルである。巨大な蝶々が羽を広げたような形をしており、その胴体に相当する部分に太陽の30倍の重さをもつ原始星IRc2があるが、これは近赤外線でも見えていない。IRc2からの秒速100キロメートルを越す強い星風によって星雲に蝶々型の大きな空洞が空けられ、そこから漏れ出した赤外線が見えているのである。

土星と木星
 土 星:太陽系第2の大きさの惑星で、直径は地球の約9倍ある。木星と同様に赤道に平行な縞模様があるが構造はより単純である。有名な輪を持ち、その直径は本体の2.26倍ある。
 木 星:太陽系最大の惑星で、直径は地球の約11倍ある。赤道に平行な縞模様があり、それが複雑な構造を持ち、時々刻々変化しているのがわかる。図の右下に見える楕円形の模様が有名な大赤斑で地球の2倍程度の大きさを持っている。

ヒクソン・コンパクト銀河群40(うみへび座)
 銀河は宇宙の中で単独で存在することはむしろ珍しく、群れ集まる傾向がある。ふたつの銀河からなる系を連銀河、三つ以上数十個程度までの集団を銀河群、数十個以上の巨大集団を銀河団と呼ぶ。銀河群の中には、通常のものに比べて極端に小さな領域に数個の銀河がふれあわんばかりに密集している「コンパクト銀河群」と呼ばれる種類のものがある。  この画像に示されているのはうみへび座にあるコンパクト銀河群HCG40で、距離は約3億光年。

銀河団 Cl 0939+47 (Abell 851)(おおぐま座)
 銀河は一様に宇宙に分布しているわけではなく、数個から数千個でグループや集団となって宇宙の大規模構造をなしている。この画像は、我々から約50億光年の距離にあって、約200万光年の広がりをもつ銀河団である。この画像には、「星」はほとんど写っていない。大小、多少いびつな光点が、みな私たちの銀河系と同程度の大きさの銀河である。200万光年と言えば、ほぼ我々の銀河からアンドロメダ星雲までの距離に等しいが、それと同程度の大きさの空間に様々な種類と色を持つ銀河が集団となって存在しているのである。

重力レンズ天体 PG1115+080(しし座)
 アインシュタインの一般相対性理論によると、重力の作用によって光線も曲げられる。遠方の天体と我々との間に銀河や銀河団があると、その重力によって遠方の天体の光が曲げられて我々に届くという「重力レンズ」の例が多く観測されている。この画像はそのような重力レンズ天体のひとつであり、約100億光年かなたにあるクエーサーが、約30億光年の距離にある銀河のちょうど真後ろに位置している。



平成11年度
文部省・国立天文台 ・三鷹キャンパス
一般公開

開催日時

平成11年 (1999年) 11月27日 (土曜日/月齢19)
           13時00分〜19時00分 (予定)

公開施設及び内容
●国立天文台(三鷹地区)の主要な観測施設、実験施設などの公開および展示陳列
●社会教育用公開望遠鏡(50センチ望遠鏡)
    ※公開時間:13:00〜19:00
●講演会(講演者:未定)
●天文質問コーナー
   日頃疑問に思っている星のこと、宇宙のこと、相談員にきいてみましょう。
●スタンプラリー(予定)
   国立天文台内の施設を見学しながらスタンプを集めよう。
●ビデオコーナー(予定)
   国立天文台の紹介ビデオの上映と販売
●天体観望会(予定)
   口径50cm望遠鏡にて昼間はべガ、夕方は月,暗くなってから木星を観望できます。また、グランドにて数社の望遠鏡メーカー、販売店が設置する各種望遠鏡や双眼鏡でいろいろな天体を観望できます。なお、観望できるのは晴天に限ります。

■<主催> 国立天文台、東京大学理学部附属天文学教育研究センター (予定)
  ■<共催> 総合研究大学院大学 (予定)
  ■<後援> 日本天文学会、天文学振興財団 (予定)

交通機関
・JR中央線・武蔵境駅南口から狛江営業所または狛江駅行きバスで(15分)=天文台前バス停留所下車。
・京王線・調布駅北口から武蔵境駅南口行きまたは武蔵小金井駅行きバスで(15分)=天文台前バス停留所下車。
・上記の他にJR中央線・三鷹駅及び武蔵小金井駅、小田急線・狛江駅からも=天文台前バス停留所を通るバスがあります。

注意事項
・自動車・バイクでの来場はお断りします。
・天文台構内及び周辺には国立天文台一般公開の為の駐車場は用意してありません。
・自転車の駐輪場は設けられています。
・小学校低学年の参観は、保護者同伴でお願いします。
・構内には軽飲食の為の食堂があります。
・夜間観望は防寒対策をしてご来場下さい。

〒181−8588
     三鷹市大沢2丁目21番地1号
      電話0422(34)3600(代表)
       ○ 文部省 国立天文台       
       ○ 東京大学理学部天文学教育センター



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