宇宙SF小説(暗黒博士)   東京都板橋区 割田 文雄(Phoenix2303)

   無限に広がる大宇宙生まれ行く星も有れば死に行く星もある(あれ、何処かで聞いたようなフレーズだぞ!)我々が見ている太陽はすでに4分ほど過去の物である。宇宙の誕生は150億年前に始まったビックバンであると言われている。それ以前は強大なるエネルギーの固まりであった、それがインフレーションという現象からビックバンという現象を発生させエネルギーは物質へと進化した。そして現在も驚異的なスピードで広がり続けている。物理学の世界ではこのまま広がり続ける(開いた宇宙と言う)のかいずれ収縮の方向に向かう(閉じた宇宙という)のか色々と研究されている。現在宇宙全体の温度は3゜Kで有ると言われているが広がり続けている以上平均温度は下がる方向に向かうはずである。すなわち宇宙全体のエネルギー(科学的な用語ではエントロビーとかエンタルビーとか言う)は下がる方向に動いているのである。それに逆行する物が2つ存在する、一つはあらゆる物を飲み込むブラックホールでありもう一つが生命体の存在である。この物語は開いた宇宙理論を持ったある科学者がブラックホールと生命体の存在を否定し消滅させようと考えたところから始まる天文SF小説である。  


ちょっと一服
隣の木星は本編とは
関係ないのだ。
隣の絵はクリックする
と拡大するよ

第一章 プロローグ。反重力 

 僕の名は火鳥視里臼(カトリシリウス)、全天で最も明るい星恒星シリウスの様に輝いて欲しいとお父さんが付けてくれた名前らしい、僕が生まれたのは西暦2303年10月10日である。この日は国際科学会議が板橋区立大学で行われていた、この会議で手由本(テユフォン)博士(通称暗黒博士)がこんな論文を発表した。『私の研究の結果宇宙の広がる速度は減少しつつもマイナスに移行する事は無い。すなわち開いた宇宙理論がこの世界の真実である。この開いた宇宙の速度を鈍化させては成らない、その様な存在は科学の力で消滅させなければならない』と、もちろんこんな無謀な理論には誰一人として耳を貸さなかった。彼はその後20年近く地下に潜って研究を重ねていた、そしてある日恐ろしい計画を実行に移した。西暦2323年5月5日突然大雪山、月山、富士山、浅間山、阿蘇山、が同時に火山活動を開始大噴火した。しかしこの事を予期していた人物が一人いた、暗黒博士と同じ研究室で議論を戦わせていた私の父出由琥(デユク)博士である。彼は暗黒博士の性格を熟知しており彼の行動を予測しその対処の仕方を色々と研究していたのである。この春スペースパイロット養成学校を卒業したばかりの私が父に呼ばれてスペース研究所から帰ってきた、父が言うには『暗黒博士はついに反重力理論を完成させ反重力装置によってマグマを地表に押しだし火山活動を起こし地球上の全ての生命体を消滅させようとしている。今まで世の中に存在している色々な力が発見されてきたが電気に+と−が有り磁力にS極とN極が有るようにほとんどの物は正と負の力が存在している、しかし、重力(分子間引力と言う)に対する反重力は発見されていなかった、だがついに暗黒博士はそれを発見したようである、正しい心を持った人物で有れば史上最高の物理学者と言われているアインシュタイン博士をも超える存在となったはずであるのに誠に残念である。』と、すかさず僕は『それで私の呼ばれた訳はいったい何なのでしょうか 』と訪ねる。父はさらに続けた『三年前おまえが交通事故にあったとき命を救うために埋め込んだ装置のエネルギーが必要になった。』そこには宇宙に存在する色々なエネルギーが存在しているのであった。『おまえと同じ手術を受けた女性がフィンランドにいる彼女も手を貸してくれることになった、まずはフィンランドに行け、もはや一刻の有余も成らない今すぐ行くのだ!、裏の倉庫に私の開発したスペース戦闘機があるこれに乗って行くんだ。』と言っておい出されるように送り出され今私はここにいる。

<<つづく>>            by Phoenix 2303  

この物語はフィクションであり登場人物や団体は実在の物とは一切関係有りません。